10|03|08 足元ふらふら(天戦)
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気付けば姿を探している。少し手が触れただけでどきどきする。自然と目で追う。傍にいると嬉しいと同時にそわそわする。目が合うと照れる。自分をもっと知ってもらいたいと思う。相手をもっと知りたいと思う。自分を見て欲しいと思う。

これらのことから察するに、どうやら俺は。

恋、というやつをしているらしい。



8つも年上の、男に。




「何で…何で十三なんだよ…」
「はい?なんです坊?俺が何て?」
「……なんでもねぇ!このバカ草!」


自棄になって暴言を吐く俺に、十三はきょとんとして「俺なにかしましたかねぇ…」なんて呟きながら頭を掻いている。

天草十三、26歳。俺が8歳のときからの護衛。それからもう10年の付き合いになるから、俺からすれば幼馴染のようなものだ。
俺もそれなりにデカイが、こいつはそれを少し上回る。顔は…うん、まぁイケメン。それなりにもてるらしい。腹立つ。

俺はどうやら、この男に恋をしてしまっているらしい。

(何で。何でよりにもよってコイツに惚れたんだ俺)

同性で年上で護衛で俺よりデカイこの男に。
嘘だろ、と思うが、十三に対する自分の反応は明らかに恋する乙女(男だが)のようなものだ。


(……やっぱり、恋、…ってやつか)


「はぁ…」
「深い溜息ですねぇ、坊。恋煩いでも?」


まったくもってその通りだ。


「…そうだ、って、言ったら?」
「……………うーん、まぁ…応援くらいはしますよ?」
「冗談だぜ。恋煩いなんかしてねぇよ」


(本当に、冗談だったらどれ程良かったか!)











あきゅろす。
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