main_10|03|11 おやすみなさい(縁戦)
※色々と捏造。中学生の縁寿と、大学生の戦人
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寝ようと思って、自室の扉を開けたら、ベッドに縁寿が座っていた。寝巻き姿で、枕を抱き締めて。
「…縁寿?どした?」
「お兄ちゃん…」
枕をぎゅうと握り締め、縁寿は俺を見上げてくる。どうしたのだろうか。その隣に腰を下ろし、俺と同じ赤い髪をよしよしと撫でてやる。
「あのね、お兄ちゃん」
「おう」
「今夜は天気が悪いわね」
「…?…そうだな?」
確かに窓の外は土砂降りで風も強い。雷も時折鳴っていて、お世辞にもいい天気とは言えないだろう。
それと、俺の部屋にいるのと何の関係があるのだろう。
「…雷も、鳴ってるわね」
「そうだなぁ」
「…………だから、あのね……一緒に寝てもいい…?」
「はい?」
一緒に寝たい?
縁寿は縋る様な目で俺を見上げて、「だって雷が鳴ってるじゃない」と続けた。どうやら、それが怖いらしい。
「…縁寿、もう中学生だろ?」
「怖いものは怖いの」
この年頃の女の子なら、もうそろそろ「お兄ちゃんと一緒は嫌」くらい言ってもよさそうなものなのだが。未だ兄離れをしない妹に嬉しかったり心配だったり、複雑だ。
まあ、それでも、こうやって頼ってきてくれるのは嬉しい。
「…じゃ、一緒に寝るか?」
「うん!」
さっきまでの弱々しい気配はどこへやら、縁寿は打って変わってぱあっと満面の笑みを浮かべた。つられて俺も笑う。やはり、こう喜ばれると嬉しいものだ。
二人でベッドに潜り込み、せがまれた腕枕をしてやる。こうやって二人で寝るのは久しぶりのような気がする。ひとの体温というのはやはり安心できるもので、いつもより深い眠りだった。
おやすみなさい
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