main_10|03|11 混濁のワルツ(留戦)
※事後。関係のある親子
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目を覚ますと、シーツがぐしゃぐしゃになったベッドには自分しか居なかった。

とりあえず近くに落ちていたシャツを羽織り、水を取りに行こうとベッドから降りると、太股を白濁がだらだらと伝う感覚がした。あれ程中に出すなと言ったのに。もう出掛けてしまったらしい親父を心の中で呪った。

気持ち悪くて仕方がない。でも拭くのも億劫で、そのままキッチンへ向かった。適当にグラスを取り、水道水を注ぎ煽る。ひんやりとしたそれが喉を通っていくと、段々と意識がはっきりしていった。
頭が覚醒してくると、汗や精液やら何やら汚れた体が気になった。纏わり付く不快感から逃れるために、シャワーを浴びようとバスルームへ向かう。




頭から湯を浴びる。心地よい温度が汚れを流していく。正面の大きな鏡には、自分の姿が映っていた。体中に赤い跡が散らばっているのを見て顔を顰めた。嫌でも昨晩の事を思い出される。

肌を撫でる手や、体の彼方此方に口付けてくる唇や、幾度と囁かれる安っぽい愛の言葉。


好きだお前が大事なんだ愛してる愛してる。
(気持ち悪い、気持ち悪い、きもちがわるい…)


抱かれる事を気持ち良いとは感じるが、恋人同士の様な優しい愛撫や甘い言葉は気持ち悪い。場を盛り上げる為なのかもしれない其れは、そう思えない程にしつこく粘着質だ。
愛してるなんて可笑しい。だって自分達は恋人なんかじゃなくて、行為は親子でという歪んだ性欲処理でしかなくて。其処に愛は必要ない。要らない。気持ち善いだけの行為が在れば好い。不必要なものをわざわざ作る必要が何処に在る?

体を伝う液体が排水口に流れていく。このまま溶けて何もかも消えてしまえばいいと、漠然と思った。




心の中で呪いを吐いた。
しんでしまえ。







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