プライドの高いひとだったから、さぞ死に様も美しかったんだろう。無様には散らないんでしょ、あたしには解る。 だからかは知らないけれど、あたしを連れて行かなかった。足手まといになるのが目に見えてるなんて、こうなると知ってたらあたしだって上手くやったのに。 でも待っていろと諭されたからきちんと待ってたよ。いつものあたしだったら絶対に三成について行ってたのに。なんでかな、待ってなきゃって思ったの。 いつもみたいに当然だなんてふんぞり返って帰ってくるんだ。少し後ろで左近はやれやれと息をつく。だからあたしはおかえりなさいと笑わない三成の代わりににっこり笑ってあげる。 無謀だなんて考えなかった。嘘、考えたくなかった。だって三成はプライドの高いひとだから、負けるなんて微塵も思わなかったでしょ?ならあたしも思わなかった。無様な死に様なんて考え付かなかったんだ。 だから石田三成様、関ヶ原にて敗北なんて聞いて驚いてるんだから。あたしがここで待ってる意味は、三成の死をもって無意味となりました。 (20090301) |