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望(陸遜)



この戦には火が必要だった。すべて燃やせばすべて終わるのだから。めらめら。陸遜はぼんやりとあたしの手を握って火を見つめる。たくさんの人が焼けて灰になるんだね。その灰は風に乗ってどこかに飛んでいくのかな。あたしたちが新たな戦の策を考えているときも、あたしと陸遜がイチャイチャしてるときも、死んだ人々の灰はあたしたちを取り巻くのだろうね。絡まった陸遜の手を握りかえしたら震えていた。


「火はなにもかもを無にしてしまう。とても怖いものなんですよ」


そんな怖いものを使わなくても平和を築ける世の中はあるのかな。いまのあたしたちにはこれが現実で、それを夢見ている。火は人を街を国を、奪う。平和のために火を放つ陸遜。あたしを守ると握った手はやっぱり震えていたから、早く火が鎮火してくれないかと目を閉じた。陸遜はやさしすぎる。








(20090416)
平和とはなんぞやと。


あきゅろす。
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