暗闇がやってくる。夜に、なる。 これでもかってくらい抱きついてくるなまえは暗闇が、夜がどうも苦手なようで。飲み込まれちまいそうなんだって。(闇に、)俺が。(まさか。)いなくなんないよ、というかいなくなってなんてやらないさ。だってひとりで眠れないなまえと、誰がいっしょに寝るんだっつの。 「別にひとりで寝れるんだけど!」 「強がんなくたっていいのに」 「真っ暗だと寝れないだけだよ」 「じゃあなんでこんなにも抱きついてるんだい?」 「公績が寝れないと思って」 「そういうことにしとこうか」 ぎゅうとなまえを抱きしめて電気をぱちん、落とす。本当に真っ暗な暗闇だけになっても、(こんなにも近くに、)ぬくもりがちゃんと二つあるだろう?おやすみとなまえが言う。だからおやすみと俺も返す。寝息が聞こえるのはあっという間で。暗闇が怖いんなら、俺がすぐに夜を朝に変えてあげる。 光が差す。朝が、くる。 「おはよう公績」 「おはようなまえ」 「なんか朝がくるの早いなあ」 「それはよかった」 (また暗闇はくるけれど)(また光が差すからさ)(俺が何度でもすぐに変えてあげる。) (20090411) |