入水届(凌統)
底なし沼みたいだねぇ(愛とは。)
そうと知れたら俺はなまえを好きになったりなんて、愛したりなんてしなかったろうに。もう俺の体は半分、いや、たぶんもっと、沼にとられて動けやしない。アンタは岸でそんな俺を見て、笑う。(笑う?)そうしてまた俺は底なし沼の底へ引きずり込まれてゆく。
「やめてよその悪女みたいな表現!」
「そうかい?いい喩えだと思ったんだけどねぇ」
「あたしは笑わないで凌統を助けますー」
「なまえも沼にハマっちまうかもしれないのに?」
「もうハマってるから今更一緒じゃない」
2人して愛の底なし沼にハマるのか。それはそれでアリだなんて考える俺はもう岸には上がれないんだろうね。救いの手を伸ばしだって、アンタも同じ(愛の、)底なし沼にいるんだからさ。
それならいいか。
入水届
(20090309)
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