忘れないで
時間割変更ってさ…正直やめてほしい
キーンコーンカーンコーン…
「これで今日の授業は終わりだ」
「起立、きょーつけ、礼」
「「「ありがとうございました」」」
ヤバい、眠さに負けて頭が回ってないよ。みんなよく頭働かせられるな…、と感心する俺。
チャイムの音で起こされて、ぼーっとしてる頭で身体を動かしながら挨拶する。どうやら二限目が終わったらしい。
続いて10分間の休憩時間になるとガヤガヤした雰囲気で、他愛もないおしゃべりが耳に入る。
あー
たとえ10分間の休憩でも今の俺にとったら必要で、寝かせてくれよという心境だった。
こんなんじゃ夜遅くまでゲームしなきゃよかったよ。
机に突っ伏しながら、三限が始まるのを待つ。
キーンコーンカーンコーン…
あっ始まった。
次って古文だったよなと思うと机の中から古文セットを取り出す。
ガラガラと教室のドアが開く音がして、みんなが一斉にそっちを見ると…?
俺たちが予想もしてなかった先生が入って来た。
っていうかさ、この時間はこの先生じゃなくね?
「起立、きょーつけ、礼…?」
学級委員長がドアが開いたと同時に号令をかけるのだが、古文の先生ではなく別の先生だったので、言葉が途中で途切れた。
「あぁ続けて、続けて。古典と現代文の授業入れ替えになったから」
突然の宣告に教室全体がキョトンとしているように感じる。
クラスメイトが「はっ?マジありえねぇ」、「現代文の教科書なんて持って来てないよー、どうしよ?」と口々に言う。
「まぁ突然の入れ替えが起こったが、どうせ学校に置き勉している諸君たちにはあまり関係ないことだろう」
何言ってるんだ、この先生は。これは最早先生としてどうかと思う。
俺だって置き勉は多少はしてるけどさ…。主要五教科の教材はちゃんと持ち帰ってるんだからな…!
けどミラクルは起こるもので…。
クラスの半分の人間がロッカーから机の中からと、現代文の教科書を机上に出していた。
えっマジ?先生の言ったこと当たっちゃってるよー!!
「よし、先生の言ったことも当たるもんだなー。アッハハハ」
俺先生のこと感服するよ。
教科書がない以上見せてもらうしかない。
ってことで俺はないのでお隣さんにって…。
あっ
「ごめんよツナくん。私も現代文持って来てないんだよ〜」
早々に俺の方を向いて申し訳なさそうな顔をする志歩ちゃん。
なんか体育の補習以来、不思議?な縁でいろいろ関わらせてもらっているが、
普通の女の子だと思う。(最近はアニオタも普通にありかなって…)
俺は窓側に位置しているから隣りは自動的に決まってしまう。
これじゃあ授業成立たないなぁーなんて。
「現代文があることがあり得ないんだよ。置き勉することがあり得ないんだよ。普通は全部持ち帰るよねぇー!!だから私のせいなんかじゃ…!」
「わかったから志歩ちゃん…!!抑えて抑えて…!!」
しっかり者だもんね。俺も志歩ちゃんと同じような気持ちなったけど、もう諦めようよ。言い合ったって仕方ないじゃんか。と心の中で言っておく。
「隣り同士教科書がない場合は、近くの席の人に入れ替えてもらいなさい」
今だとは言わないけど、先生の言葉にイラッとくるな…。
時間割変更さえなければ…!!
『ほんとムカつくよ、ほんとムカつくよ(小声で&少泣)』
「十代目…」
「こんなんで泣くことなんてないんだよっ…!!」
「…。十代目!!」
「あ"ぁーっ、もう何っ!!」
志歩ちゃんをなんとか復帰させようと頑張ってるのに、後ろからちょっかいがかかって来る。
鬱陶しいと思いながら後ろを振り向くと、そこにはニコニコの獄寺くんの顔が。
「十代目、現文の教科書ないんですよね?なら俺がお貸ししますよ!」
「えっ、いいの?獄寺くん?」
「ええ、もちろん!沢崎が俺の席と交換すればいいんですから!!」
「獄寺くんの席の隣りって…?」
「よぉ、ツナ!俺なのなっ!俺は教科書持ってるし、入れ替わっても大丈夫だぜ!」
「山本!」
獄寺くんの隣りって山本なのか。ってことは志歩ちゃんと獄寺くんがクロスチェンジするといいってことだよね。
よし
「あのさ志歩ちゃん。志歩ちゃんと獄寺くんとで席を交換しない?
それならちゃんと教科書見れるからさ!
『うん、そうだね…。そうした方がいいよね…p(´⌒`。q)グスン』
「アハハ…(まだ泣いてたよーっ…!!)」
話し合いの結果、そうすることによって解決した。
『ありがとう武くん!!』
「なに、いいってことよ!困った時はお互い様って言うだろっ!」
『なんて心が広いんだ。今は亡き日本男児を大切にせにゃならん!(感動(泣))』
違った意味で泣いてる。
まっ、いっか。
っていうかどこの方言?
「獄寺くんもありがとね」
「礼には及びません。十代目がお困りになっている時こそ右腕である俺の出番ですから!」
「(この人恥ずかしがらずに言ったーっ!!クラス中に聞こえる声で言うなよ〜)」
おかげでさっきまでざわめいていたクラスも一斉に静かになった。
「…さぁ、静かになったところでそろそろ授業始めるぞー」
先生の合図で授業が開始された。
いけね、教科書忘れた
(俺は右腕として役目を果たしたんだ…!ただ山本と隣りが嫌だったなんてことは言えないよな…)
(時間割変更は金輪際ごめんだ。あと全員教科書持って帰れ。主要教科を持って帰るのは常識だろ)
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(根に持つタイプなんだねー)
(そうなのなー)
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