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戦闘ギャグと最後のまとめ



前回の続き

部活動停止期間中に行われていたのはなんと屋上での戦闘…ゲフンゲフン修行だった。
獄寺くんは負けて、雲雀さんは戦線離脱。
次に戦うのは武くんと笹川さんのお兄さんで笹川先輩らしいんだけど…。

ツナくんも後で戦うのかな?どう見たって
華奢な身体つき。悪く言えばひょろっこ。戦ってる姿なんて想像できない。戦闘中に「ヒーッ!!」とか叫んで逃げてそうな?



「先輩よろしくすっ!」

「よろしく頼むぞ山本!」

「けっ、見ててもつまらなそうだし…寝てっかな」

『寝る前に…獄寺くんところどころ怪我してるから、保健室行った方がいいよ。生徒はいなくても先生はまだ職務があるからねー。働いてるから勤務時間まではいるよ!』

「はぁ?こんなのかすり傷だろ。行く必要ねぇよ」

『人が折角親切で言ったのに…グスッ』

「…って、おい…ホントに泣くなよ…!?…わかったよ、保健室行ってくる…」

『ついでに自販機でジュース買ってきて!』

「はぁぁぁっ!?怪我人にジュース買ってこいとかどんだけSなんだよぉぉぉっ!!」

『つべこべ言わずに買ってくるー。回れー右!』

「覚えてろよ沢崎!」




「…恐るべし志歩ちゃん」


会話文が獄寺と沢崎の漫才になっていたことは気にせず、
戦いの火蓋は切って落とされた。



『戦闘実況中継は私、沢崎がお伝えします。どうぞよろしくお願いします沢田さん』

「こちらこそよろしく…って何言ってんのぉぉぉ意味わかんないから…!!」

『意味わかんなくないよ。普通こういうときは実況するでしょ。期待してるよ助手の沢田』

「なんか偉そう…!!」


沢田の声も届かずに、沢崎はしゃべり始めた。


『おーっと、山本氏の手にある小さい箱?を…指にはめているリングに近づけて…っていうか指輪から炎、、、?
…嘘、なんで炎灯るの…!山本氏は人間なのか…実は魔術師でしたっていうオチか…!!

「山本は人間だからね…。落ち着こう志歩ちゃん…!!」

『はぁ?落ち着いてられるか!!なんで沢田氏こそ落ち着いてられるの?まさか沢田氏も人間外。あれか、宇宙人か。

「いや違うからね、俺も立派な人g『なんと山本氏が召喚したのは燕ちゃんだー!可愛いね、後で触りたいな!』俺の発言、総無視…


山本愛用の匣、雨燕が空を駆け巡る。
彼の刀…時雨金時を構え、笹川に勢いよく向かう。
言うなれば先手必勝。

しかし笹川も黙って見ているだけじゃない。
自身も匣兵器を展開し、カンガルーを出現させた。


「いくぞ漢我流。晴グローブを俺にくれ!」


我流の背負っている放出砲から黄色い晴の炎が笹川に向かって放射されると、笹川の手にシルエットが浮かび上がる。


「やはり俺にはボクシングだけだぁぁぁ」


そう叫びながら前に走り出て、山本の刀の振りをグローブで受け止める。
パンチで構えたスタイルで刃を受け止める姿は少し異様であるが、グローブと切れる凶器な刀とでは相性が悪くも思える。

心配そうに見つめる沢田をよそに、さっきとは違う隣の女子中学生。


『うわぁー黄色い炎ピカピカやん!笹川氏はカンガルーかー。袋あるからメスなのかな?、、、
…人外すぎてツッコむの疲れてきた。沢田氏、ここは日本だよな…

「うん、日本だね。どうしたの志歩ちゃん急に勢いなくして…」

『なんか私にとっての未知がこの世の常識として受け入れていくのに手間取ってるだけだよ。私は沢田氏たちと違って人間だからさ、理解しがたいんだよ』

目がどっかいってる、席はずした方がいいよ…!意識を現実に戻して!!

『ダイジョブ、ダイジョブ。慌てない、慌てない。
っていうか気になったのはここが日本なら、刀持ち込み禁止だろ、銃刀法違反のはず。日本の法に抗うとともに、私は刀を使うようなそんな山本氏に育てた覚えはない!

「おまえは山本のなんなんだよぉぉぉ!」


ギャグちっくに言ったものの気が気でない沢崎。
優しい山本が不良並みに刀持って振り回す姿が受け入れられないのだろう。
はたまた法に従うのが彼女の正義だったらしく…


『やめなさーい山本氏。刀を置いて今からお姉さんと一緒に警察に出頭しましょ。少年法適用で今なら逮捕されないから』

「拡声器使って忠告ー!!っていうかお姉さんって誰?もしかして本気で自分のこと指してたりして…(笑)

『沢田氏の公務執行妨害により現行犯逮捕しよっか。さつに来てもらうよ沢田氏(ニコリ』

「志歩ちゃん目が笑ってないよ…(T_T)」


沢崎の拡声器からの声を聞いて、山本と笹川が苦い顔をした。


「確かに銃刀法には違反してるけどなー(笑)」

「マフィアのことなど知らない沢崎がいるのだ。事情が事情だとこれ以上激しく戦うのは無理だな…」

「そうっすね。今日のところはやめってことで!」

「うむ、そうだな…」


戦いもとい修行を中断させられ残念そうな笹川と、ニコニコと笑顔を絶やさない山本。
山本は刀状態の時雨金時から竹刀に戻し、沢崎に近づいた。

さっきまで刀だったのが竹刀になっていて、不思議そうに観察する沢崎。タネがあるはずだと一生懸命探すが、断念したようだ。


『にしても笹川先輩のグローブすごいですね!刃当てられてたら、グローブ傷つくはずなのに…傷一つついてないですし!
やっぱり人知を超えてる…

「志歩ちゃん言っとくけど、お兄さんも人間だからね…」


誰も怪我してないか。彼女なりの確認みたいだ。


「普通ならグローブは傷つくが、俺の晴れの死ぬ気の炎の能力で相殺されている!」

『笹川先輩の炎って黄色いピカピカの?』


「…芝生頭の炎は活性という能力がある。負荷細胞に自己治癒を促進するというもので、野球バカの刃を受け止めた時にできた傷も早く修復することができたってわけだ…」


やっと遅れて戻ってきたと思えば、炎の特性について説明する獄寺。
包帯や湿布が至るところに目がつき、痛々しいが…彼の腕には今いる人数分の缶ジュースが抱えられていた。


「獄寺くん、ちゃんと志歩ちゃんの言うこと聞いたんだね…」

「ち、違いますよ…!こいつじゃなくて俺の自己判断でやったんっすよ!」

「サンキュー獄寺♪」

「タコヘッドにしては気が利くではないか!」

「うっせぇー!!」


“そこにいたのはいつもの調子の並盛組で、微笑ましい光景に思わず口が緩んだ。

私が入れる隙はないと判断して、他の人より早々に屋上を去った”


(なんだろこの空虚感。こんなにも無知が怖いだなんて、初めて知った…)








「沢崎の奴いっちまいましたね…。缶ジュース渡しそびれたしよ…」

「やっぱり刺激が強かったのかな…?」

「そうだろうな。
沢崎と初めて会ったが、表の取り繕いが多かったな。これだと影の部分はかなり色濃いだろ…」

「そうっすね。無理してないといいけどな…」


その後
並盛の四人もそれぞれの自宅に帰ることになった。
余った沢崎の缶ジュース分だが、沢田が直接渡しに行くと断固譲らない意志にみんな任せて、帰路につく。

当たり前だが、この決着はテスト後並盛山で行われることになった。笹川は再戦に燃えていたことは言うまでもないだろう。










(まだ志歩ちゃんは帰っていない…)

彼の超直感は告げていた。
現段階、場所までわかるほど優れてはないので、仲間に危険が及んでるわけでもないが…超死ぬ気モードになり上空から探すことにした。

缶ジュースの冷たさが残っているうちにどうしても渡したかった。





『はぁー』


ため息などついて自分らしくない…と言い聞かせるが、自分の心は素直に受け止めてはくれなかった。

すっかり空は茜色に染まり、光を受ける遊具には細長い影が伸びている。

彼女は公園にいた。
何故かひとッこ一人いなくて、二つあるブランコのうち左側に座りながら、キコキコ緩く揺らしていた。



「(…!あそこにいるのか…)」


ブランコを揺らしている沢崎を発見し、沢田は彼女に見つからないように視界から離れたところに降り立った。

ハイパー化を解除しようと思ったが、偽りを隠し通すことに躊躇する心が先立った。
彼女はまた知らずに流転する人生のまま時を過ごす。

無知がどんなに怖いか未来での体験からわかっていたのに、それでも彼女に同じ境遇を与えようとしていたのだ。


「(隠していても仕方ないだろ…)」


沢田は彼女に向かった。





「屋上での戦闘を見て、調子が悪いのか?」

『へっ?』


声がする方に体を向けると、自分の知っている人が話しかけてきた。

彼は空いている右のブランコに座ると、横かけ鞄から一本の缶ジュースを取り出した。


「おまえが獄寺に言って買ってきてもらったものだろ。彼の好意もある、ありがたく受け取っておけ」

『そ、そういえばジュース貰い損ねてたっけ…!』


今気づいたように彼から缶ジュースを受け取り、プルタブを開け、飲み始めた。
某会社の炭酸ブドウ味だった。


『わざわざ届けて頂いてありがとうございます。…どうしたんですか、今日は?』

「………」

『す、すいません。ジュース届けに来ただけですよね…。
あの…、時間あるなら、問いに答えてもらえませんか。
私がいて今日迷惑だったかどうか…』


彼女は知っていた。
会話的に俺のことに気づいているということだ。
彼女はそんな俺の気持ちを察してか、付け加える。


『つい先程知りましたよ。今頃でとんだアホですよね…。もしかしたら…と思っていたけど、なんか認めたくなかったっていうか…意外でしたから…』

「すまない。今まで隠してきて…」

『いえいえ気にしないでください。そんなツナくんもありかなぁって…』




「なぜ自分を信じないんだ…?誰もおまえを迷惑だなんて思っていない。悲観ばかりしているといつか潰れるぞ」

『もう潰れてるかも』


彼女はフフッと笑って、視線を下に向ける。


『私上手く笑えてますか?』

「端から見れば笑えているが、無理していることを見抜くのは簡単かもな」

『ズバッと言いますね』

「言ってほしいんだろ」


志歩がなんで下を向いたのかわかった。
泣いているのだ。涙声が混ざり始めているところで気付いたが、泣くことを止めてはいけないと判断し、ブランコから降りて彼女の背中を擦ってやる。

グローブからじゃ、人の肌のぬくもりを感じ取りにくいが…それでも必死に悲しみに染まらないようにもがいている志歩が伝わってきた。

俺にはこんなことしかできない。なんと非力なんだろうか。


『ありがとうございます。もう大丈夫です』

「…平気か」

『はい、落ち着きました』

「…泣いた後で悪いんだが、俺の問いにも答えてくれるか」

『いいですよ、どうぞ』

「おまえは俺が怖いか?」


目を丸くし、驚いている様子の志歩だったが、すぐに口を開いた。


『なんでですか。今のツナくん、ものすごくかっこいいじゃないですか。雰囲気エロいですよ。艶やかかな。性格も凛としていて!普段のツナくんはカッコ可愛いし。受けに見えます!』

「…俺は容姿を聞いているわけじゃない。それに受けになる気はない。俺は攻めだ」

『すいません、すいません。機嫌直してくださいよー。
…だって二重人格とかじゃないんでしょ?なら怖くないですよ。本質は全く変わりません。
仲間が傷つくことが嫌いな優しい少年です』


今の質問は怖くて誰にもしたことがなかった。
平然と答える志歩に驚きと嬉しさが込み上げた。

思わず微笑んでしまったところを志歩は見逃さなかった。


『ふふふ。今のツナくんの笑った顔、ものすごく綺麗です!それこそイケメンは自信もたないと…!!』


冗談か本心かわからない発言はともかく、今の志歩の笑顔は一番好きだ。

けどこの笑顔を独り占めしていたいと思った俺は末期だろうか。










とりあえず今日も平和でよかったかな。
明日からテスト勉強しないとヤバイ…。

志歩ちゃん助けて…














(ありがとう)
(なんだか心が救われた気がしたよ)




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