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78.喜びの涙




白い天井
身体に張り巡らされた幾つもの管

傍らに眠るのはすっかり疲れてやつれた貴方

私の手をぎゅっと握っていて…

ぴくりとその手が動く
そして貴方も目を覚ました



「……霄、…」

掠れたような声で私の名前を呼ぶ
身体も以前より痩せていて、顔色も悪そうだった


『……髪…伸びましたね』

ふわりと恭弥様の髪の毛を撫でる
恭弥様は信じられないという表情のまま固まっていた


「霄、霄っ…」

急にぽろぽろと大粒の涙を零しながら恭弥様が抱きしめてくれた


久しぶりの感覚
痩せたけれど大きな恭弥様の身体
柔らかい匂い

もう離れたくない…

離れない

私はやっぱり貴方のものですから…















*****



鏡を見ると、以前より痩せて暗い顔が映った
いかにも病み上がりの顔でちょっと嫌


けれど恭弥様の方が大変だったようで…


私が倒れてから毎日病院に通い詰めて…
仕事も極力減らして…
減らさずとも恭弥様のやつれ様が酷くて、事務所の方から休ませられたりしたこともあったそう

食事もほとんどとらないで夜中も泣き通しで…


聞かなくてもそのやつれ様は一目瞭然…





やっぱり恭弥様大好き

本当に私を愛してくれてて…

私の全てを知ってて…

誰よりも大好き…





泣きながら私を抱きしめる恭弥様に私も誘われて涙を流す

全然苦しくない涙

喜びの涙…



「…よかっ…た…。霄…」

ちゅ、と触れるだけのキスを唇に受ける

何よりも幸せに感じた





『恭弥さん、聞いてください。』

「…?」

相変わらず泣き続ける恭弥様の顔を上げさせて額にキスをする


『私…恭弥さんが大好き。誰よりも大好きです…。我が儘、かもしれませんが…これから私から絶対離れないで…。』

自分で言っておいて涙がぽろぽろ零れてくる
恭弥様の額や頬に私の雫が垂れる

すると、ぐいっと手を引かれてまた私は恭弥様の胸の中に収まった

「…当たり前…。僕が霄から離れる訳ないでしょ…。誰よりも大好き、なんだから…」


ちゅ、ちゅっと額に何度もキスをされ、最後に顔を持ち上げられてキスを交わす



傍らの細い恭弥様の腕には私がプレゼントしたブレスレットが綺麗に光っていた















1番書きたかった回かもしれません
本当に霄ちゃんが大好きで大好きで、植物人間状態の霄ちゃんでも毎日毎日会いにきて…
そんな雲雀さんが書きたくて仕方なかった

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あきゅろす。
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