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17.出て、行きます

『……はぁ…』


きらきら

台所のシンクは綺麗に磨かれて光っている

全ての洗濯物は綺麗に畳んで閉まってある


とりあえず自分が使った部屋も簡単に掃除して



『…出て、いきましょうか…』



元の着てきた薄汚れた制服を着て立ち上がる。


もう嫌だ


傷付けるのは


自分も他人も





部屋を出、廊下を歩き、玄関で扉を開ける


「霄!」

『!?』

恭弥、様

私をぎゅっと抱きしめて


なんで



なんで?




「よかった…。行っちゃったかと思った…」

『………』

「…霄?」

『出て、行きます』

「行かないで」

『行きます』

「どうして?僕が嫌いになった…?」

『違います』

「じゃあどうして?」



アナタヲ
キズツケタクナイカラ、デス



そう言いたかったのに何故か涙が次々に溢れてくる
昨日あんなにさんざん泣いたのに
もう泣かないってまた決めたのに


「………」

恭弥様の指が優しく私の涙を拭う

「もう絶対離さない。霄は、僕の大事なものだよ。」

そう言って恭弥様は私を尚更強く抱きしめる


耳元に何か違和感


「 スキ 」


そう聞こえた気がした



でも、でも駄目なんです。
私なんかと一緒にいちゃだめなんです。




思いきりふりきって私は恭弥様から逃げた





逃げて
逃げて
逃げて



私はよくわからない森に迷い込んだ



よく考えたら私はここに来てから一歩も外に出ていない。
だからこの辺りの事が解るはずもない。




『…、……、』


息を切らせながら大きな木の麓に寄り掛かる

暫くこんなに走ることは無かったから、身体が悲鳴をあげている。
以前恭弥様が巻いてくださった包帯もばらばらに解けていた。

そこに写るのは赤

傷から血が滲んでいる
いきなり運動したからかな









嫌な記憶ばかりが脳内を支配する








包帯









汚れ



『嫌…だ…よ…』



しとしとと降り出した雨の中


私は嫌な記憶と共に眠りにつくしかなかった











なんか暗いし展開急だしなんだって感じですが、着いてきて下さると嬉しいです
次で一応核心が書けたらいいなと思います

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あきゅろす。
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