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96.幸せ、に…



「……架音。」

『かのん?』

「うん。可愛い名前でしょ?」

『女の子みたいなお名前ですね』


少し良くなった恭弥さんと私達の赤ちゃんの名前を決めている

赤ちゃんはさっきからすやすやと眠っている

凄く大人しくて、泣く時も静かに泣く
変わってる子だけど、とっても可愛くて…大好き


「まあね。…でもこの子にはぴったりだと思うんだ。…霄みたいに可愛いし…」

『ふふ、恭弥さんがそう言われるなら、かのんちゃんがいいです。』

「…ふみゃ…、ふぇえ…っ…」

『あ…っ…、架音ちゃんが泣いてます…』


小さく泣く架音ちゃんを抱き上げてあやす。
恭弥さんに似たさらさらの黒髪にちょっとつりあがった目
美形で綺麗な顔…
大きくなったら本当にかっこよくてモテモテになっちゃいますよね…
ちょっと寂しいです
…なんて、少し考えるの早過ぎますね…


幸せで幸せで…

私は…

義兄にあんなに傷付けられて…
無理矢理にされて…
でも恭弥様が私を認めて下さって…
優しくしてくれて…

………
一度は恭弥さんの昔の女の人に殺されかけそうになったけど…

それでも恭弥さんの愛に変わりはなかったし…
むしろ深くなって…

そうしてる間に昔の恭弥さんに会って…

幸せで幸せで…

でも…
恭弥さんの事務所の人に言われて
私の方から離れて…
その時に架音ちゃんが出来て…
駄目な事ばっかりしてお金を貯めて…
恭弥さんは倒れて…


私、何度死のうとしたでしょうか…

腕を切って自らを拒絶して傷付けて…

そんな私でも…
恭弥さんみたいな素敵な方が側に居てくれて、可愛い架音ちゃんも産まれて…


死ななくて…よかった…





『恭弥…大好き…っ…!』

「霄…。僕も大好きだよ…何よりも大事な人だよ…」

「…ふみゃ…」

腕の中の架音ちゃんがふにゃふにゃと動く
可愛い…

『ふふっ…架音ちゃんも忘れないで下さいね?』

「うん、もちろん…。霄も架音も大好きだよ…」

『はい…!』





優しくふわりと交わしたキスは甘くて甘くてとろけそうでした














*****



「行ってくるね。」

『はい、いってらっしゃい!』

「…ふみゅー…」




一度倒れてから恭弥さんは以前の事務所を止めてしまった

酷い事や辛い事ばかりだったからもう嫌だと恭弥さんが言っていた

とても大きな事務所で、お仕事も沢山来ていたけど、嫌なものは嫌だと簡単に止めてしまった

代わりに小さな規模の出来立ての事務所で細々とやっていくことになった…

事務所の人は皆いい人で、恭弥さんが私と結婚していても、子供を持ってていても、いいって言ってくれて、それにいつも親切にしてくれる…


こんな生活だと…大きな幸せは簡単にはやってこないけど、毎日の小さな幸せがとても嬉しい…


「…ふきゃ…ふきゃあ…」

『架音ちゃん…』


架音ちゃんも…
小さな幸せをいっぱい集めて下さいね…?
そして恭弥さんと私みたいに…


幸せ、に…














ね?














最終話


長かったですが、ラストが上手く書けなくて悲しいです…
ヒロインちゃんもモデルの雲雀さんも大好きですから本当はまだまだ続けたいです
だからアンケート設置予定なので、よかったら何か書いて下さい…
感想や質問を頂けると嬉しいです
今まで本当にありがとうございました!
番外編などちょくちょく書く予定なのでよかったらこれからもよろしくお願いします!

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あきゅろす。
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