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わせ

消毒液の臭い

やたら白ばかりで清潔感を誇張したがる内装


ここは病院。


なぜ僕がここにいるかというと、風邪をこじらせたから。

別にたいしたことないと思って放っておいたのが良くなかった。

だるいしきついし最悪。






まだふらつく足どりで向かったのは屋上

なんとなく落ち着くんだよね




実は3日前にここを見付けて、毎日昼寝することに決めている。




少し辛い階段を上り、軽く息を吐いてドアを開ける




そこに違和感。



痩せ細った、真っ白のワンピースを着た少女が手摺りを乗り越えて、渕ギリギリに腰掛けている



「…何、してるの?」


『…?』


少女はなんでもないように普通に僕を振り返った。


『見てお分かりになりませんか?』

「…死ぬの?」

『はい。ここから飛び降りたら下は池です。上手くいけば誰にも迷惑をかけることなく死ねます』


とんでもないことを口走っているのに少女の顔はにこやかだ

『それでは、死にましょうか』

少女は立ち上がる


「待ちなよ」

『?どうしましたか?』

「…僕の並盛で勝手に死なないでくれる?…風紀が乱れる」

『そうですか…』

手摺りを乗り越えこちらに戻って来る


『ではどこで死んだら迷惑がかからないでしょうか?ご存知でしたら教えて下さいませんか?』

真剣な顔でまたとんでもないことを聞いてくる。




「なんでそんなに死にたいの?」


『私は誰にも必要とされていませんから。恐らく死んだ方が迷惑をかけなくていい選択だと思うんです。』

痩せてひょろひょろの身体からは想像つかないようなしっかりとした表情で、落ち着いた言葉で少女は言う。


「1人くらいは君を必要としてる人、いるんじゃないの?」

『いませんよ』

困ったように笑いながら少女は即答する

「両親は?」

『いません』

「兄弟は?」

『いません』

「友達、は?」

『いません』

「学校での知り合いくらいいるでしょ」

『学校なんかいってません』

「君どうやって生活してきたの」
『養子に入っていましたが、最近そこのご両親にお子様が出来たので追い出されました』

「………」

『それで私が餓死しかけているところをこの病院の方が診てくれましたが、私は治療代は払えません。ね、必要としてる方はいないでしょう?』

なにも迷いなどないようににっこりと微笑んで僕を見つめる。



空には雲が流れ、雲の隙間から太陽の光りが照り付ける



「いるじゃない」

『?』

「僕がいる」

『何故貴方が?』

「君のコト好きになっちゃったみたいだから」

ほっそりとした身体を抱きしめるとその少女はぴくりと震えた

『嘘。憐れんでいるだけでしょう?』

「違うよ」

血の気の少ない薄い唇に優しくキスをする。
少女は抵抗することなくそれを受け止めた

「これでも信じられない?」

『…はい。信じられません。』

「じゃあ…」



少女の骨張った腕を取り、手を持ち上げる

少女は不思議そうに首を傾げた


薬指の付け根あたりにキスを落とし僕は呟く

「僕は…君と、…一生共に生きていく事を…、誓います…」


少女は俯いて顔を赤くしていた。
僕は耳元で囁く

「君も…誓う?」







*****

「霄、行ってくるよ」

『恭弥さん、いってらっしゃい。あ、』


忘れてたと霄は言いながら僕にキスをしてくれる

毎日の幸せな時間





あの時の死ぬ間際の君と

僕の一目惚れの偶然が



この時を作り出しているのなら




これは奇跡?


必然?










アンケートにありました
シリアス→甘
切ない→甘
を意識してみましたが如何でしょうか?
よかったらアドバイスや感想頂けたら嬉しいです←まだ下手なので…
リクに沿っているかが心配なだけなのですがね^^;


あきゅろす。
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