ユメノハナシ 多分私は アレンさんに会うために 生まれてきたのですよ 〜ユメノハナシ〜 いつもにこにこしててとても優しい霄は 僕の大切な彼女 『アレンさん、クッキー焼いてみたんです!味見してみて下さいませんか?』 可愛いエプロンをかけた霄ぱたぱたかけてきた 「えぇいただきます」 一つ摘んで食べる 相変わらず霄は料理が上手 「…とっても美味しいです」 『……アレンさんを思って…作りましたから…』 あぁ 僕はなんて幸せ者なんだろう 僕らはいつもひとしきり愛し合った後 同じ台詞を言い合う 「僕は…この世で霄に会えた事が1番の幸運ですね…?」 「いいえ、運なんかではないですよ。必然です!だって多分私はアレンさんに会うために生まれてきたのですよ?」 何度も飽きる事なく続くその会話は、いつも僕を安心させてくれる。 でも その会話にも終わりが訪れた 同時に霄から笑顔も奪っていった 次に霄を見たのは 真っ白な部屋の真っ白なベッドに横たわる姿だった その目は焦点が合っていなかった そして 涙の跡があった 「…後頭部を強く打ったらしく…視力が…」 嘘だ そんなの信じない 信じたくない 霄が暴行を受けた…? 目が見えなくなった…? もう二度と起き上がる事が出来なくなった…? そんなの 嘘 ですよね…? 霄…? 『…ごめんなさい…』 …そんな事言わないで 現実だって理解してしまうから 『ごめんなさい…』 違う こんなのは霄じゃない …僕は白い部屋から、黒い現実から逃げ出した そして 一人の少女は謝罪の言葉を繰り返す 少年が離れていったのも知らず いつまでも 〜ユメノハナシ〜 了 過去サイトより転載 [次へ#] |