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SHOUT−シャウト−
第1章(5)
月宮学園の生徒会室の隣に小さな小部屋が繋がっていることを知っているものは少ない。

元は資料室だったのであろう小さな窓一つない密室。
そこに後ろ手で縛られ猿轡をされた少年が三人いた。


ギギギ・・・


音をたて扉が開かれると、暗闇が光に包まれる。暗闇に慣れた三人はまぶしそうに目を細めた。

そこに現れたのはそのまぶしい光に似つかわしい男。
だがいつもの人当たりのいい笑顔は剥がされ、無表情な冷たい視線が三人を射る。

その氷のような瞳に三人は震える。
これが自分たちが憧れたあの生徒会長であろうかと。


「こいつらが?」

男・生徒会長たる薬師真治がうしろを振り返る。

「ええ。昨日の夜、ナオを呼び出した輩です」

男がまた一人。

その男に見覚えがあった。
確かあの邪魔な里中那音といつも共にいる早川宗汰という男。

「三人ともあなたの親衛隊のメンバーです」

そう言いながら宗汰は三人の猿轡を外していく。



「か、会長」
その中の一人が思い切って口を開く。

「ぼ、ぼくはあなたのためならなんでもします」

「ぼくもです」

「会長、ぼくもです」



次々に繰り出される声に真治は顔を歪める。

「俺は言ったはずだ。里中那音に手を出すものを許しはしないと」

その瞬間、三人の顔は冷水を浴びたかのように強張った。



冷たく見下ろす真治を横目に宗汰が一人ずつその顎をつかみ顔を検分していく。

「さすが会長の親衛隊、見た目だけは十分可愛らしい」

「これがか?」

「会長ナオを基準にしたらダメですよ。あの子は特別なのだから」

「まあいい、処分は早川、お前に任せる」

真治は後ろも振り返らずに出て行った。




室内におびえが深くなる。

すると宗汰の笑みが次第に黒くなっていく。

「ごめんね先輩たち。でもあなたたちが悪いんですよ。会長の従弟に手を出そうだなんて」

そう言って宗汰の手が一人の肩にのびる。

「ヒッ」
声にならない悲鳴があがる。


「だいじょうぶだよ痛いことはしないから。先輩たちしだいで気持ちよくなれるから」

宗汰のその言葉とともにドヤドヤと数人の男たちが部屋に入ってくる。

「この三人があなた方への報酬です。納めてください」

男たちが無言でうなづき三人の少年の戒めを解いていく。




だが解いていくのは彼らを縛り付ける紐だけではなかった。

「え?なに。なにするの」

「いやー!!さわらないで」

次々と剥かれていく少年たちに成すすべはなかった。




「ではごゆっくり」

そう言って宗汰が小部屋の扉を閉める。

金に糸目をつけぬ作りのこの学園。
そんな小部屋にまで防音設備が整っているとは。




腐った学園。
そしてその腐臭が染み付いてしまった自分のこの手。

だがその実態を知らないままでいて欲しい。

宗汰は純粋なままの友人を思い描く。
君だけは・・・










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あきゅろす。
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