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ハピネス
-9-
校門前で花道を待っている洋平に先に出てきた流川は立ち止まり話しかけてきた。
「なあ、アレ、マジなわけ?」
「アレ?」
「セックス」
堂々と声を潜めることもせずに言う。
「マジ。んなことより早く行けよ」
もうすぐ花道が来る。
壁に寄りかかっている洋平の肩を掴むとキスをした。
「……るっ……」
「キスはいいんだろ」
触れるだけの軽いキス。
流川は驚いている洋平に唇の端だけ上げて笑ってみせる。
「流川ァ」
睨みつける洋平を躱して流川は自転車を漕いで行った。
その後すぐ花道が来た。
「おう、待たせたな」
「なあ、花道寒くねえの」
自分は寒くてまだコートを着ているというのに花道はマフラーさえしていない。おまけに学ランの下はTシャツときている。
「んあ?バスケやってきたばっかしだしなあ」
頭の後ろに腕をやりながら花道は歩く。
「ったく、バカはいいよな。寒さも感じねえんだからよ」
「ぬ?この天才に向かってバカとはなんだ」
「バカと天才は紙一重ってえだろ。そう大して変わんねえよ」
笑いながら洋平は花道をからかう。
花道は少々ふて腐れ気味の顔をする。
途中コンビニに寄って肉まんを買った。
二人とも食べながら歩く。
「おじさん帰ってきたんだってな」
花道は食べ終わった後の袋を膨らましてパンッといい音をさせて割った。
「誰から聞いたんだよ」
誰とはわかっていたが聞いてみた。
「大楠」
「ったく、あのおしゃべり」
パンッと洋平も袋を潰した。
「バカ。俺の身にもなってみろ」
「けど、俺んとこ母ちゃんだけだからな」
「あげんぜ。あんなんでいいならよ。ただし、家に帰って来んのなんて月一がせいぜいだぜ」
「洋平の父ちゃんはパス。なんか会話がズレちまうんだよな」
さすがに自分の父親なだけに声高々には笑えず苦笑する。
別れ道に着き、洋平は花道と別れた。

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あきゅろす。
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