おはようございます
「……」
これはいったい何?何が起きてるの?
私はスズメの鳴き声と、カーテンからもれるまぶしい光で清々しい朝を迎えようとしていた。しかし、目をうっすらと開けた時、あり得ないものが目に飛び込んできて、それは叶わなかった。
目の前にいるのはすやすやと眠る少年。横向きに寝ている私の胸に顔をうずめるようにして縮こまっている。…う、動けない。
前髪の一部がパッツンの、柔らかそうな髪を持つ少年。そう、普通の少年なのだ。──頭に生えているものを見なければ。
「う、うさ耳…?」
少年の茶色の髪から生えているのは、白っぽい耳。
ピクッとたまに動く様子から、偽物ではなさそうだ。
うさ耳が生えていなければ、ただのいたいけな少年。もし普通の少年だったら、私は何を犯罪まがいのことをしているんだ!と今頃後悔の念にかられていただろう。
しかし彼はうさ耳。…もう頭がパンクしそうだ。
…これから、どうしよう。
とりあえず二度寝、なんて気持ちの余裕はないし、目の前の気持ちよさそうに寝ている少年を起こしてしまうのも、なんだか可哀想に思えた。
ふう、とため息をつくとピクッと動くうさ耳。
「……」
さ、触りたい…!
ちょっとだけなら、いいよね…?
─ふわふわ
「〜〜っ!」
何これ気持ちいい…!
超癒される…!
「…ん」
うさ耳少年が小さな声を出した。
「…!」
やばい、起こしちゃったみたいだ。
私は動揺して触っていた耳を離し、視線をさ迷わせる。
ど、どうしよう…!
寝たふりとか…!?
次の瞬間、青くぱっちりした大きな目が私をとらえた。
あ、遅かった。
変にドキドキしている私をよそに、少年は眠そうに目をこすり、私に向かって言った。
「…おはよう、ございます…」
ほんわかした声。
天使のような微笑み。
か、可愛いいい!!
鼻血でる!
──その後しばらく、優奈はうさ耳少年の不思議そうな眼差しを受けながら、悶えていたそうだ。
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