03
スポーツテストのことで風丸を褒めちぎった後、風丸は「久しぶりに、パスでもやるか?」なんて、嬉しいこと言ってくれた。
早速ボールを蹴りだそうとした瞬間、嫌味を含んだ声がそれを阻んだ。
「おいおい、何やってんだ?陸上部とサッカー部が一緒に練習なんて珍しいこともあるもんだ!」
「ギャハハハ!仕方ねえだろ!サッカー部は真面目に練習する部員なんていねえんだ!1人じゃサッカーできないから、他の部の奴に遊んでもらってるってワケだ!」
…ラグビー部か。
「1人じゃない!私も合わせて2人だ!」
無性に腹がたって、つい言い返していた。
「ハハッ!1人だろーが2人だろーがどうでもいいよ。サッカーは11人でやるもんだろぉ?」
「うるさい!」
「しかも、お前女じゃねえか」
「だから何だ!」
「女が男と一緒にサッカーやってるなんて、バカだろ。試合だってでれねえだろーが」
「つーか、その前に部員足りなくて試合できねえか」
ギャハハ、と下品に笑うラグビー部の連中に、ついに堪忍袋の尾がきれた。
「あんた達、いい加減にしなよ!私は気が長くないんだ!」
女だから、何だ。サッカーが好きなことに男も女もあるか。
「うるせえなあ。いいからさっさとどけよ!グラウンドは俺たちが使うんだ。…どかないならこうしてやるぜ!」
ドンッ!
守の足元にあったボールがラグビー部の1人にとられた。
「あっ、何するんだ!ボールを返せよ!」
守が大きな声で言う。
「ボールがほしけりゃ取り返してみろ、弱小サッカー部!」
「な、なんだと?よくも言ったなっ!本当に弱小かどうか勝負してみるかよっ!?」
守も怒りが抑えきれなかったようで、気づくとラグビー部に勝負を挑んでいた。
「…お前ら、ちょっとやり過ぎだぜ…。円堂、譲!コイツらと勝負するなら俺も力をかすぜ!」
今まで黙っていた風丸も、怒っているようだった。
「風丸センパイ!円堂さん、譲さん!俺もお手伝いしますよ!」
「悪いな、お前たち!よしっ、こっちも4人でいくぜっ!勝負だ!!」
「よっしゃ、あんな奴らコテンパンにしてやる!」
こうして4対4のバトルが始まった。
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