[携帯モード] [URL送信]
17

「ちょっと君!いきなり何なんだ!」

「そうです!いきなり乱入して…。貴女は女性ですから、出られないことくらいわかっているでしょう!」

審判と冬海に咎められて、やっぱりダメか…と肩を落とす。

審判に早く戻りなさいと促され、仕方なく従って歩き出したとき、意外な人がそれを止めた。

「いいですよ、別に」

それは帝国のキャプテン、鬼道の声だった。

「えっ?」

「し、しかし鬼道君」

審判が困惑しているのがわかる。

…な、なんだ。嫌なヤツだと思ってたけど、意外にいい所も…

「彼女が入ったところで、我々の勝利に影響はないのでね」

…やっぱ嫌なヤツだ!!

「そ、そういうなら…。君、早く着替えてきなさい」

「…はい」

何だか無性にイライラしながら、私はユニフォームに着替えるため部室へと走り出した。


* * *


準備を終えた私は、風丸が守っていたポジションについた。

──ピピーッ

ホイッスルが鳴り、相手ボールから始まる。すでに守る人のいない雷門は、簡単にペナルティーエリアまで攻められた。

(あの連携は…デスゾーンだ!)

私は全速力で走り、ボールと守の間に飛び込んだ。

「くっ…!」

うまくボールと守の間に入れはしたが、デスゾーンの威力は凄まじく、身体ごとゴールに叩きつけられる。

また1点取られてしまった。

身体中が痛かったが、気力を振り絞り立ち上がる。こんなの皆に比べたら、全然だ…!

「ごめん、守…。防げなかった」

私と一緒にゴールに叩きつけられた守を支えながら立たせる。

「いいって!次止めればいいんだ!」

絶望的な状況でも諦めない。こんな守だからこそ、私も頑張れるんだ。

「うん!まずは1点、だね!」

何点差だってかまわない。私は最後まで諦めない!

「デスゾーンをくらって立ち上がれる者が2人もいるとは…。ふっ、面白いことになってきたな」

鬼道がそう言いながら自分のポジションへと戻っていく。

雷門ボールで始まるこのチャンスを無駄にはしない!

そう思った矢先に、最悪の事態が起こった。目金が敵前逃亡したのだ。

「も、もう嫌だぁっ」

エースナンバーの入ったユニフォームを脱ぎ捨て、走り去っていく目金。

「最悪…」

ここまで人に失望したのは初めてだ。あんなに威張りくさっていたのに、自分の身が可愛くて逃げ出すなんて…。呆れて物も言えない。

「どうやら10人になってしまったようだが…」

人の悪い笑みを浮かべ、こちらを見てくる鬼道。

10人で試合するしか道はないか…?

無意識に唇を噛みしめていると、ギャラリーがざわついているのが聞こえた。

「あんなヤツ、うちにいたか?」

「あれって転校生の…」

振り返ると、そこにいたのは雷門のユニフォームを着た豪炎寺だった。




(何かが起こりそうな気がした)




[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!