16
こんなことになるなんて、思ってなかった。
グラウンドに倒れている雷門イレブンの皆。
…最初は、もしかしたら勝てるかも、なんて思ってた。
…でもそんな考えはすぐに打ち砕かれて。
ゴールキーパーの源田が染岡のシュートを止めたところから流れは変わった。帝国イレブンの動きが別物となったのだ。前半は10対0で私達の負けで終わり、皆が諦めモードの中、後半は始まった。
ただでさえ皆気落ちしていたのに、後半開始直後帝国は必殺技を出してきた。DF陣が次々と必殺技を受けてボロボロになっていく。
さらには帝国のキャプテン、鬼道有人の「デスゾーン、開始」の一言であっという間に1点をとられ、そこからは見ていられるものではなかった。
どんどん点差をつけられ、相手のラフプレイで傷つきグラウンドに倒れていく仲間たち。
その様子を私は何もできず、ただ涙をこらえて見ていることしかできない。そんな自分がもどかしくて、同時に嫌になった。
立っているのが守と目金だけになった時、帝国イレブンは点を入れるためではなく、守を潰すことを目的にシュートをし始めた。
…っ!こんなのサッカーじゃない!
「あーあ。期待はずれもいいとこだな」
「やっぱダメチームだったんだよ。こりゃ廃部確定だな」
近くにいる雷門の生徒がそう言うのが聞こえた。
「…っ、皆ボロボロになっても戦ってるのに、そんなこと言うな!」
気づいたら怒鳴っていた。相手は目を丸くしている。
その時、風丸が守を庇いシュートを受け、その反動でゴールに叩きつけられた。風丸は立ち上がれないようだ。
「風丸っ!」
審判や冬海が止めるのも関わらず、駆け寄り肩を貸す。
「くっ…」
その表情は険しいものだった。どこか痛めたのだろうか。
(…。決めた)
どうでもいいようにこちらを見ている帝国イレブンをキッと睨み付けながら、私は言った。
「メンバーチェンジ!私が風丸の代わりに出る!」
(ただ黙って見てるだけなんて、もう嫌なんだ)
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