[携帯モード] [URL送信]
15

「あれ、そういえばメンバーまだ足りないよね。いつ来るの?もうすぐ試合始まっちゃうけど」

さっき帝国のシュートを受け止め、やる気が格段にアップした守に聞いてみる。

「うーん。秋が連れてくるって言ってたんだけどなあ」

そう言って首を傾げた守。「円堂くーん!」秋から声がかかったのは、そんなときだった。

「…げ」

こちらに手を振り走ってくる2人組を見て、つい声に出してしまった。

「彼がサッカー部に入ってくれる目金君よ」

「目金欠流だ、よろしく」

…うわあ、最悪。

「よろしくな!」

守が握手しようと手を出すが、こいつもスルー。目金のクセに!凄い腹立つんですけど!

辺りをキョロキョロ見回してから、「どうやら本当に僕が最後の1人のようだね」と言う目金。

「入部するにあたって条件がある。僕、10番のユニフォームしか着たくないんだよね」

最初見たときから目金へのイライラが募っていた私は、この極めつけの一言でぶちギレた。

「ねえ、マックスあいつ一発殴っていい?」

青筋を浮かべ、パキポキと拳を鳴らし、不自然なほどの笑顔で言う。

「いいんじゃない?」

「おい!マックス適当に受け流すな!譲ももう少し自分を抑えろ!」

「…はーい」

染岡に止められて、渋々手を引っ込める。

…仕方ない、ここは守の判断に任せよう。

「うーん。そうだな、…いいぜ!」

「「「えぇー!」」」

守、もっとよく考えて!

「キャプテン、マジでやんすかあ!?」

「マジだ!!」

キッパリ言い切る守。これはいくら反対しても、聞いちゃくれないな。

「損はさせないよ。絶対にね」

眼鏡をキラン、と輝かせ自信満々に言う目金にため息がでる。

…はあー、あり得ない…。

この試合どうなることやら。

この時はまだ、目金のヘタレぶりが雷門サッカー部を救うとは(良く捉えると、だが)誰も知らなかった。


* * *


目金がユニフォームに着替えてくると、冬海がすごい形相でこちらにやってきた。

「円堂君、円堂君!まだ人数が揃わないようですが、どうしたんですか!」

「え?ちゃんと11人…」

いるよな?と確認する前に、栗松の大きな声が響く。

「キャプテーン!壁山がトイレに行って帰ってこないでやんす!」

…壁山、逃げたな。

「こ、これ以上お客様を待たせられませんよ!早く何とかして下さい!」

それだけ言い捨てると、冬海はさっさと元の場所に戻って行った。

「…よし、急いで壁山を探すぞ!」

「「「おう!」」」

部員全員で校舎へと走っていった。

「大丈夫かな…」

心配そうに皆の背を見つめる秋の背中を、軽く叩いてやる。

「心配すんなって!私達はドリンクとかの準備してよ!」

「…うん。そうだね!」


* * *


10分くらいして、無事に壁山を連れてきた皆。

聞くと、壁山はロッカーに入って出られなくなっていたらしい。

…よくあの身体で入れたなあ。

全員揃ったので、グラウンドに整列をする。

…いよいよ、始まるのだ。

──ピーッ

試合開始のホイッスルが、鳴り響いた。




(みんな、頑張れ!)





[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!