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「あれ、そういえばメンバーまだ足りないよね。いつ来るの?もうすぐ試合始まっちゃうけど」
さっき帝国のシュートを受け止め、やる気が格段にアップした守に聞いてみる。
「うーん。秋が連れてくるって言ってたんだけどなあ」
そう言って首を傾げた守。「円堂くーん!」秋から声がかかったのは、そんなときだった。
「…げ」
こちらに手を振り走ってくる2人組を見て、つい声に出してしまった。
「彼がサッカー部に入ってくれる目金君よ」
「目金欠流だ、よろしく」
…うわあ、最悪。
「よろしくな!」
守が握手しようと手を出すが、こいつもスルー。目金のクセに!凄い腹立つんですけど!
辺りをキョロキョロ見回してから、「どうやら本当に僕が最後の1人のようだね」と言う目金。
「入部するにあたって条件がある。僕、10番のユニフォームしか着たくないんだよね」
最初見たときから目金へのイライラが募っていた私は、この極めつけの一言でぶちギレた。
「ねえ、マックスあいつ一発殴っていい?」
青筋を浮かべ、パキポキと拳を鳴らし、不自然なほどの笑顔で言う。
「いいんじゃない?」
「おい!マックス適当に受け流すな!譲ももう少し自分を抑えろ!」
「…はーい」
染岡に止められて、渋々手を引っ込める。
…仕方ない、ここは守の判断に任せよう。
「うーん。そうだな、…いいぜ!」
「「「えぇー!」」」
守、もっとよく考えて!
「キャプテン、マジでやんすかあ!?」
「マジだ!!」
キッパリ言い切る守。これはいくら反対しても、聞いちゃくれないな。
「損はさせないよ。絶対にね」
眼鏡をキラン、と輝かせ自信満々に言う目金にため息がでる。
…はあー、あり得ない…。
この試合どうなることやら。
この時はまだ、目金のヘタレぶりが雷門サッカー部を救うとは(良く捉えると、だが)誰も知らなかった。
* * *
目金がユニフォームに着替えてくると、冬海がすごい形相でこちらにやってきた。
「円堂君、円堂君!まだ人数が揃わないようですが、どうしたんですか!」
「え?ちゃんと11人…」
いるよな?と確認する前に、栗松の大きな声が響く。
「キャプテーン!壁山がトイレに行って帰ってこないでやんす!」
…壁山、逃げたな。
「こ、これ以上お客様を待たせられませんよ!早く何とかして下さい!」
それだけ言い捨てると、冬海はさっさと元の場所に戻って行った。
「…よし、急いで壁山を探すぞ!」
「「「おう!」」」
部員全員で校舎へと走っていった。
「大丈夫かな…」
心配そうに皆の背を見つめる秋の背中を、軽く叩いてやる。
「心配すんなって!私達はドリンクとかの準備してよ!」
「…うん。そうだね!」
* * *
10分くらいして、無事に壁山を連れてきた皆。
聞くと、壁山はロッカーに入って出られなくなっていたらしい。
…よくあの身体で入れたなあ。
全員揃ったので、グラウンドに整列をする。
…いよいよ、始まるのだ。
──ピーッ
試合開始のホイッスルが、鳴り響いた。
(みんな、頑張れ!)
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