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そろそろ帝国が来る時間。

着替え終えた皆に、先にグラウンドに行ってもらい、私は動きやすいようにジャージに着替える。

「…?なんか騒がしい、もう来たのかな」

駆け足でグラウンドに行くと、校門の前には旗を揺らめかせ佇む、とても大きな車。最早車ってレベルじゃない。

皆のところに合流して、呆けていると、車の扉が開いた。そこからたくさんの生徒がサッカーボールを蹴りながら現れ、扉の前に道を作るように2列に並んだ。ビシッとポーズを決めた彼らはさながら軍隊のようだ。制服も軍服みたいだからなおさらだ。

…さすが帝国。開いた口が塞がらないとは、こういうことか。

並んだ彼らの間にレッドカーペットが敷かれると、帝国イレブンの登場だ。

(うわあ…、何て言うか…奇抜?)

私の目は先頭の人に釘付けだった。…悪い意味で。何せ格好が凄すぎる。…悪い意味で。

ドレッドヘアにゴーグル、加えて赤マントときた。こんな独創性に溢れた人、初めて見ました、私。

守が奇抜ファッションの人に近寄り挨拶をする。

「雷門中サッカー部のキャプテン円堂守です!練習試合の申し込みありがとうございます!」

握手しようと手を差し出すが、見向きもされなかった。

(…なんだあいつ。感じ悪いな)

思わずムッとしてしまう。

「初めてのグラウンドなんでね、ウォーミングアップしてもいいかな」

「あ、はい。どうぞ」

挨拶も握手もしないその人は、守に許可をもらうとすぐにグラウンドに向かった。


* * *


※帝国視点

「鬼道さん、なんでこんなチームと試合を?ウチのスキルが上がるとは思えませんが」

グラウンドで、雷門イレブンにレベルの差を見せつけるようにドリブルやパスをしていると、辺見が聞いてきた。

「さあな…」

ちら、と木の影にいる男を見る。

「フッ、…面白いことが起こるかもしれないぞ」


* * *


「なんだ、あれ…」

「速すぎるでやんす…」

「あんなのと試合すんのかよ…」

ウォーミングアップを始めた帝国イレブンの動きを見て、皆不安を隠せないみたいだ。

「皆、今から怖じ気づいてもしょうがないでしょ!1週間頑張ってきた全てを試合にぶつけるんだ!」

「そんなこと言われても…」

半田が言葉を濁す。

その時だった。守に帝国の選手が蹴ったボールが向かってきたのは。

あからさまに狙って蹴ったであろう凄い勢いのボール。守は真っ正面から止めてみせた。

凄い威力だったため、守のグローブからは煙があがり、焦げついていた。

皆は言葉を失ったが、自分の手のひらを見た守は一言。

「〜っ!面白くなってきたぜ!!」

「ふふっ、我らがキャプテンは勝つ気でいるみたいだよ」




(さあ、勝ちにいこうぜ!)




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