12
正式にサッカー部に入ってから(といっても1日しか経っていないが)、私はより一層練習に励むことにした。今朝も軽く走り込みをしたし、今日の部活の後にも自主練をしようと思う。
試合に出られないとはわかっているけど、皆の練習相手になるためにも自分のレベルアップをした方がいいと思ったのだ。
まあ、ただ単にサッカーが上手く、強くなりたいだけなのだが。
「よし!今日の練習はこれで終わりだ!」
守のかけ声で今日の部活を終えた私たちは、ドリンクやタオルを取るためにベンチに集まる。
「ふう、久しぶりの練習は疲れるでやんすね…あれ?」
栗松の声に校舎側を見ると、茶色でウェーブのかかった長い髪を風になびかせ、こちらに歩いてくる女子生徒の姿があった。
「夏未じゃんっ!」
思わず走りより抱きつく。
「久しぶりだねっ!」
「ちょ、ちょっと!服が汚れるじゃないっ!離れなさいよ!」
「夏未冷たいー」
肩をぐっと押され、離された私はそう愚痴をこぼすと、夏未に「貴女が土まみれで抱きつくからでしょう!?」とキツく叱られた。
「あ、あのー。夏未さんと譲ちゃんはどういう関係なの?」
私たちのやり取りを見ていた秋が、困ったような顔をして聞いてきた。
ああ、皆はあたし達のこと知らないっけ。
「私と夏未はねー、親友だよ!ねっ、夏未」
「そ、そう思っているのは貴女だけです!」
「またまたそんなこと言っちゃって〜!小学生の時からの付き合いじゃん!」
「貴女が勝手に付きまとっていただけでしょう!?」
「とか言って、嬉しかったくせに。あは、顔赤くしちゃって可愛い〜!」
「〜〜!」
「…仲、良いんだな」
風丸が呆れたようにそう言ったのが耳に入った。
「あの、それで夏未さんはどうしてここに?」
話が進まないのをみかねた秋が、口を挟んだ。
「え?私の練習してるところを見に来てくれたんでしょ?」
「違います!…もう、貴女のせいで話がそれてばかりだわ!…お父様があんまりサッカー部を嫌うものだから…、少し見に来ただけよ」
仕切り直しとでもいうように、コホンと咳払いを一つする夏未。
「見に来たはいいけど…。試合が決まったからあわてて練習を始めるなんて、みっともない人達ね。いっそのこと廃部になった方がいさぎよいのではなくって?」
「な、なんだと!?お前いったいなんでやんす…?」
「おい、栗松!こいつ理事長の娘だぜ。逆らっちゃまずいって…!」
宍戸、知ってたんだ。守は驚いてるから、知らなかったんだろうな。
「あら、ご存知でしたの。私も当日は試合を見せていただくわ。あなたたちが廃部になるところをね…」
「廃部になんてさせないさ!サッカーを愛する気持ちがあれば、不可能だって可能になるんだ!」
夏未の言葉に、そう言い返す守。
「勢いだけはあるみたいね…。まあ、結果は同じだと思うけど…」
それだけ言うと、さっと踵を返し校舎に戻る夏未。
「…。ごめん、ちょっと夏未追いかけてくる!」
「え?…あ、ちょっと、譲ちゃんっ!」
(…夏未、部屋にいるかな?)
* * *
※会話中心
「夏未!」
「…譲。勝手に入ってこないでちょうだい」
「…ねえ、なんか怒ってる?」
「…そんなことないわ」
「…嘘。夏未、思ってること言ってよ」
「…。どうしてサッカー部に入ったの。あんなに嫌っていたじゃない」
「…何にも言わないでサッカー部に入ったのが、嫌だった?」
「…」
そっぽを向く夏未に、笑みがこぼれる。
(…ふふ、すねてる)
「皆、やる気になってくれたんだ。守の気持ちが届いた。…夏未も見てれば、サッカー好きになるよ、絶対」
「…ならないわ、絶対」
「ふふ、どうかな。夏未がマネージャーしてくれたら、楽しいだろうなあー」
「勝手に話を進めないで!」
(貴女をとられたみたいで少し寂しかった、なんて絶対言わないんだから!)
(夏未可愛いなー!)
* * *
あれ、夏未夢になってる…!?笑
管理人はイナイレの女の子達大好きです(^^*)
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