08
次の日、私は朝からずっとニヤニヤしていた。
──昼休み
「うふふ」
「譲、すごいご機嫌だね。ニヤニヤして気持ち悪いよ。何か良いことでもあった?」
なんか引っかかるけど、今はすごく気分がいいから気にしない。
「マックス!よくぞ聞いてくれました!昨日ね、スッゴいストライカーに会ったんだ!ボールがね、炎に包まれてドーンって!」
「へえー、そりゃすごいね」
「…何か反応薄くなーい?」
口を尖らせ、恨めしそうにマックスを見る。すると、マックスは大して気にした様子もなく続ける。
「だってボクそれより良い情報知ってるからね」
「…なに?教えてよ」
「しょーがないなあ。…今日さ、隣のクラスに転校生がくるらしいよ」
「なーんだ、そんなことかあ〜」
私はどうにもサッカー関係以外は興味がないようだ。
「譲も反応薄いじゃんか。…その転校生さ、ツンツンした白い髪でけっこうカッコいいらしいよー」
「ツンツンした白い髪!?」
(もしかして、昨日の…!?)
「マックス、隣のクラスって言ったよね!」
「え?うん」
「よし!ちょっと行ってくる!」
「は!?いきなり何で!?すごい興味なかったじゃん!」
「今すっごい興味わいた!じゃあ、行ってくるね!マックスありがとう!」
私は猛ダッシュで隣の教室へ。
* * *
扉から顔を覗かせ、周りを伺うと、昨日河川敷で会った少年を見つけた。守と秋もいる。
「守!秋!」
「譲!来たのか!」
爽やかに笑う守に、私も笑顔を返す。
「うん!なんか転校生の特徴聞いて、もしかしてって思ってさ!…やっぱり、転校生って君だったんだ!」
守から視線を白い髪の少年に向ける。
「私、円堂譲!名前教えてくれるかな?」
こちらをちらり、と見た少年は無表情に言った。
「…豪炎寺修也」
(声、低い…。私の周りって声高い人多いからな。なんか新鮮)
「豪炎寺か!よろしく!」
にこやかに握手をしようと手を伸ばす。が、シカトされてしまった。
(…あれ?)
なんか微妙な空気が流れる中、それを打ち破ったのは半田が守を呼ぶ声だった。
「おーい!円堂!」
「半田じゃないか。どうしたんだ?」
「冬海先生が呼んでるぞ。みんな部室に集合しろって。大事な発表があるんだってさ」
「…大事な発表?なんだ…?」
「…廃部のことじゃないかな」
秋が悲しそうな顔で呟く。
「そんなわけないだろ!どうしていきなりそんなことになるんだ?」
「そ、そうだよね。とにかく部室に行ってみましょうか」
「…私も行くよ」
(なんか、嫌な予感がするな…)
半田が嫌そうな顔をしたのはスルーだ。
(みんなで部室へ!)
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