*女の子なシズちゃんと、女の子な臨(リン)ちゃんでシズイザです。温めですが性的な描写が含まれますので、苦手な方はプラウザバックをお願い致します。
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ゆさゆさ、ゆさゆさと揺すられて
そのうちガクガクと頭が揺れるのに気分が悪くなった頃、思い切り鷲掴みにされた。何って…その、胸を。
「っひゃ…!」
「あはは。シズちゃんかわいー!」
ニヤニヤと笑いながら手を動かす事を止めないバカを殴ろうとするが、寝起きである事と重なって腹の上にバカが乗っているので巧くいかない。
「ちょ…ン、やめろ…バカっ!」
「ねぇねぇ、シズちゃんそれわざと?」
「はぁ?何言って…って、脱がすなバカ!!」
パジャマ代わりのシャツを捲られて、当たり前の顔で侵入してきた手を、流石に危機感を持って止めれば真上からつまらなそうな声が聞こえた。何がちぇーだ。悪戯ですむレベルじゃないぞ、お前がやると。
「だってさぁ、そんな可愛くヤメてって言われて止まる男なんているわけないじゃん?」
「お前は女だろうがバカ!!」
「もー、シズちゃん朝からバカバカ言って。可愛いのは寝顔とおっぱいくらいだよね」
「オヤジかお前は…つか、なんで部屋に勝手に入ってきてんだ………よ?」
そこでようやく、堂々と腹の上に跨っている臨の頭上に視線が届いた。
ぴょこぴょこと動く、真っ黒な耳が二つ。よく見ると臨が好んで履く際どい短さの(自分の足を見てニヤつく男の抜けた顔を見るのが好きだとか言ってた。ほんっと、性格が悪い)ミニスカートの裾からはひょこん、と耳と同じ色の尻尾が見えた。
「…これ、何?」
「ひゃっ…シズちゃん、痛い!もっと優しく触ってよね」
「ああ、ごめん。これで良い?」
「…うん。ちょっと、くすぐったいけど…平気っ…んッ!」
「どうした?」
尻尾の先端が思いの外ふわふわと気持ち良くて、喋りながらも手放す事が出来ない。すると臨は、顔を赤らめながら"…別に。"と全く持って説得力の無い返事をした。
「? つーか、なんで耳と尻尾が生えてるんだ?可愛いけど」
「! 可愛い?ねぇ、シズちゃん。臨の事かわいいって言った?!」
「手前じゃねぇよ。耳と尻尾が可愛いって言ったんだ」
ふわふわのもこもこ。まるで高級な猫みたいに毛並みが整ったそれは、触っているだけで気持ちがいい。
「…臨は、可愛くない?」
「…………っ!」
しゅん、と耳が寝て。しょんぼりした顔と一緒になると、正直可愛い。
元々臨は綺麗な顔をしているので(調子に乗るから絶対言わないけど)そんな表情をされると本当に、儚い美少女に見えて困る。永遠の21歳とかバカな事を公言している女に、儚いという言葉が似合うのか、そこら辺を切り離して客観的に見ると、だけど。
「………可愛い、よ」
「ホント?有難う、シズちゃん!」
パっと顔を綻ばせた臨が、当然のように倒れこんでくる。軽い体重がかけられても、苦しいという事はないけれど、この体勢が問題だ。がっしりと頬を掴まれた時には、ああ今回は逃げられないなと諦めるしかない。
「ん…」
臨は、キス魔だ。
何が楽しいのだか知らないけれど、ちょっとした隙を付いてよくキスを仕掛けてくる。残念な事に、私のファーストキスも大分前にコイツに奪われた…ああ、忌々しい。
本当に忌々しいのは、臨のキスが信じられないくらい気持ちが良い事だ。
当然とばかりに忍び込んできた舌が歯列をなぞり、くちゅくちゅと聞いているだけで恥ずかしい音を立てて私の舌を絡め取る。何時の間にかシャツの中に侵入していた臨の手が、腰や胸へと延びてきて、変な声が出そうになるのを必死に堪える。
そんな様子に気付いたのか、臨が笑った声が聞こえる。目を閉じていても分かる。楽しそうで、それでいて興奮を隠さない声。
「っ…、り…ん……ぁ、」
「なぁに、シズちゃん?」
臨が離れていく時、思わず出た声はどうみてもキスの終わりを惜しんでいる声だった。蕩けていく思考と、肌を這う熱い指先、首筋を舐められればぞわぞわと背筋を何かが走っていく。
「やらしー顔してる。シズちゃんのその顔、臨だぁい好き」
ちゅ、っとわざとらしい音を立てて頬に唇が落ちてくる。
どうせするなら口にしろ、と言うのが面倒で。目前の頭に手を伸ばし、引き寄せた勢いのままキスすれば臨が目を見開いたのがよく見えた。
そう言えば、初めてだ。
目を開けてキスをするのも、私から、キスをするのも。
いつもされているように。臨がして気持ち良いと思う事をそのままする。
舌先を甘く噛めば臨が緊張したのが伝わってきて、思わず笑いそうになる。噛み切られるとでも思ったんだろうか。そんな事、するわけないのに。
手持無沙汰の手は、片方が臨のふさふさの耳を撫で。もう片手で、跨っている為どうしても目に入る白さばかりが目立つ細い足を、ラインを確認するようにゆっくり撫でた。
「んっ…ン、ぅ……ゃ、あ…ッ」
ぎゅうと目を閉じた臨から、悩ましい声が聞こえてくる。
じっと目前の顔を見続けている為か、段々と赤味を帯び、こちらの動作一つ一つに敏感になってくる臨の変化がよく分かった。先程の仕返し、とばかりにスカートの中に忍ばせた手で触り心地の良い尻尾を付け根から撫でてみる。反応が良かった場所は、確かめるように何度も、何度も弄びながら。
「ぁん…やっ、しず、ちゃ…ッ」
絡ませていた舌を解くと、臨は真っ赤な顔で私を睨む。
「…っ!もう!ヤだって、言ってるじゃん!」
ああ、成る程。
臨が言う事は何時もワケが分からないと思っていたが、今一つ分かった事がある。
"そんな可愛くヤメてって言われて止まる男なんているわけない"よな、うん。苦笑いしながら、臨の目を見る。
「臨、かわいい」
一瞬で染まる頬。それから、こちらとの距離を取るように突っ張られていた腕の力が弱くなった事を確認する。これは臨の、降参の合図。本人が気付いているかは、知らないけれど。
「…シズちゃん、ずるい」
小さく呟く声は無視して、散々弄んでいた尻尾の元へと手を伸ばす。
抵抗される事なく侵入できた下着の中は、ぐしょぐしょに濡れていて簡単に指が入り込めそうだった。
「っん…!ちょ…シズちゃ、何して…!ッ、ゃあ!」
蠢く尻尾を臨のナカに。初めこそ指で導く必要があった尻尾は、暫く進むと自分から奥へと入って行った。
「ぁぁ、っ…ん、ヤ…!これ…取って、しずちゃ…とってぇ…!!」
ぐちゅぐちゅといやらしい音が止まらない。蠢く尻尾を外そうと伸ばした臨の手を掴んでしまえば、泣きそうな目が私を睨みつける。あ、その顔。結構好きかも。
「いじわるっ…ンッ、あっ…ァン…!」
「臨、声もうちょっと我慢して。隣に聞こえる」
残念ながら私の家は、臨の家みたいに高級マンションではないし、薄い壁は隣の生活音を遮断してくれはしない。この声を、誰にも聞かせたくないなんて我儘は、臨をまた泣きそうな顔に変えてしまう。
「はッ…ァ、だっ…れが、出させッ、あ、ああッ、ン…!!」
それもそうか、と拘束していた手を放し臨の頬へと手を伸ばす。
それならキスしよう、と言う前に臨がゆっくりと倒れてくる。重なった唇から零れる喘ぎ声は、随分と小さくなって。私だけを、煽り続ける。
押し倒す形の臨が、私の上で喘ぎ、快楽に身悶えする。
まるで臨が私だけの物になったような錯覚が、とてもとても気持ちが良かった。
(そうか、私は…臨の事が…)
好きだったのだと、ようやく気付いた。
「シズちゃん。新羅殺そう」
二度寝から目を覚ますと、臨がじっとりとした目で私を見ていた。
物騒な言葉の理由は、新薬の実験台にされてあの耳と尻尾が生えてきたから、らしい。
私としては、いっそ菓子折りの一つでも贈りたい気分だったので、適当に返事をして三度寝に突入する事にした。そんな姿を見て、臨が何か騒ぎ出したので遠のく意識を叱りつけ、目前の身体をベッドへ引っ張り込んだ。しばらく腕の中で騒いでいた猫が諦めと共に静かになったのを確認し、安心して、目を閉じた。
三度寝のススメ/end
ミトさんへ捧げます。
女の子な二人のお名前拝借させて頂き、有難うございましたv