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図書室と日輪と

硝子越しではあるものの日輪の御加護を受けながら生徒会の仕事をできる静寂に包まれたこの図書室が、我は好きだった。
この場所に訪れては生徒会の仕事を進めていた。
この場所には何だかんだと喚く幼馴染の長曾我部とそれとつるむもう一人の眼帯の伊達も居なければトラブルメーカーの真田もそのお守りの猿飛も居ない。
少しだけ、ほんの少しだけ寂しいような感覚がしないわけでもないが、この場所では煩い連中が居ない分生徒会の仕事が捗る。

そして図書委員だという竹中と出会い、時折話をして有意義な時間を過ごしていた。
竹中はとても優秀で我とも気が合ういい奴だ。
我は長宗我部の愚痴を零したり、また竹中も豊臣と前田の話をする。
豊臣とは竹中の親友で、前田とは豊臣と竹中の腐れ縁らしい。
話を聞けば前田は長曾我部と似ていて、竹中は困っているらしい。
竹中はそんな他愛も無い話を交わしたり、生徒会の仕事にも助言をしたり、手伝ったりする。(ちなみに、いい駒になると思い生徒会に誘ってみたが肺結核を患っているらしく断られた。)
そんな竹中と過ごす時間は居心地がよかった。

そして今日も神々しい光を降り注いでくれる日輪の御加護を受けようと生徒会室ではなく図書室へ向かった。
ついでに少しだけ竹中と話をしたいと思った。
しかし、入り口付近で竹中と少し派手な上背のある男が口論していたので足を止めた。

「僕は忙しいんだ、帰ってくれないか」

「いいじゃねぇか、たまには」

珍しく、竹中は表情を曇らせて声を張り上げていた。
我が知る限りでは竹中と言う男は冷静でなかなか頭に血が昇らないような人だった筈だ。
まぁ、彼の親友だという豊臣のことになれば別なのだが。
しかし竹中の感情を此れほどまでに揺さぶるとはどんな奴なのだろうと、少しだけ興味を抱き二人の応酬に耳を傾けてみる。

「なぁ、半兵衛いいだろ?今週末俺とデートしてくれよ」

「僕は嫌だと言っているじゃないか。大体慶次君は計画性が無さ過ぎる。僕は君のそういうところが嫌いなんだ」

「半兵衛、だからお前人の話を聞けよなぁ…。俺は前々から予定明けとけって言ってたんだけど…。」

「そんなの、聞いてない」

痴話喧嘩か…下らぬ。
我は直ぐに踵を返す。
結局生徒会室にとんぼ返りをするはめになってしまった。
とても腹立たしいので、生徒会室に戻ったらいの一番に長曾我部の顔を殴ってやろうと心に決めた。


あきゅろす。
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