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仕組まれ愛※若干破廉恥、狂愛

「ねぇ、伊達ちゃん」

「Hmm?」

「その首の、何?」

ギシリと音を立ててベッドのスプリングが軋み、佐助の顔が近づく。
首筋に紅く残された鬱血痕を細い骨張った指がなぞる。
擽ったいようなもどかしい感覚に小さく肩を揺らせば、佐助はいつもの穏やかな笑みを強張らせてゆっくりと口を開いた。

「虫刺され、じゃ無いよねぇ……他の男と寝たわけ?」

口調は変わらないけども、普段より幾分も低い地に這うような声で言の葉を紡がれる。
するりと首筋から鎖骨へと手が滑る感覚に目を細めた。
その雰囲気に圧倒されるも、逆にこの空気にゾクゾクと体の中で熱が燻る。
全身を弱い電流が駆け巡るような、そんな感覚。
佐助はヘラヘラ笑ってるより、こんな風に激怒している時の方がよっぽど人間味があって良い。
笑顔という作り物の仮面を着けている佐助は好きじゃあない。
人間、こうやって自分をありのまま曝け出している姿が一番魅力的なのだ。

俺は、そう思う。

「だったら、何だって言うんだ」

「へぇ、開き直るんだ?さっすが、伊達男は違うねぇー…」

目は笑っていないのに、佐助は口元を緩めてカラカラと笑う。
そしてその目が細められた刹那ガブリと鎖骨に歯を立てた。
元親が痕を残した場所、その鬱血痕の上に、ガブリと。
このまま食い千切られるんじゃないかというくらいに、強く、強く噛まれた。
多分、歯形がついたそこには血が滲んでいるだろう。

「ってぇな…」

チリチリとした痛みに思わず眉を顰めて舌打ち混じりに零す。
痛みを訴えるように眉を寄せて睨んでみる。
それでも目の前の佐助は動じない。
それどころか笑みを深めるばかりだ。

「伊達ちゃんは痛いくらいの方が良いんでしょ?」

そうでしょ、と首を傾げて笑いながら佐助は俺の首に手を添える。
そしてその手に軽く力を込め始める。
徐々に強まる喉の圧迫感に顔を歪めて俺は佐助の腕へと手を伸ばす。
意外と筋肉質のそれに爪を立てても引っ掻いても、佐助は腕の力を緩めない。
空気を求めてひゅっ、と喉が鳴る。

「いい様だよ、伊達ちゃん」

クスクスと目は据わったままで口元だけで薄く笑う。
段々霞んでいく視界の中に、本能を剥き出したそんな人間染みた佐助の姿が映る。

「これでも、俺様伊達ちゃんのこと愛してんだよ」




あぁ、それだよ。それ。
だから元親と寝たんだよ。
仮面を外したアンタに会いたくて。


仕組んだ愛だなんて、アンタは気付かないだろうけど。


あきゅろす。
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