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悪戯ガール



「ギャァァアア!!!」


「な、なんだぁ?」

「誰だよ!?」

「朝っぱらから元気だな」

「うるせーぞー」

ザワザワザワザワ

クジラ船に悲痛な叫びが響く

ドタドタドタドタ!!!!!

同時に遠くから足音が聞こえてきた

ドタドタドタドタ

バターン!!!!

勢いよく開かれたドア

「ニキの奴ァはどこだァ!!」

シーン

「………………。」

「サ…サッチさん?」

「隊長!?」


そこには顔一面に落書きされたサッチが立っていた










サッチの登場で静かになった食堂

船員たちは朝食を食べる手を止めサッチを凝視する

しかし大半の船員たちは笑いをこらえることに必死だった


「プッ、プハハハハハ」


そんな中こらえきれずに吹き出したのは2番隊隊長ポートガス・D・エース

「黙れエース」

「おいサッチ、なんか今日は男前じゃねェかよい」

エースの隣にいたマルコも意地悪そうな笑顔で言った

「おめェも黙れマルコ」

食堂のドアの前に立つ男は白ひげ海賊団4番隊隊長サッチ

哀れなことに、彼の顔は悲惨なことになっていた

黒マジックで頬に猫のヒゲ、額に3つの目、鼻のてっぺんには『プリン食べたい』と書かれ、両目と口の周りを1つずつ円で囲まれ、そして前髪はかわいいピンク色のリボンで結ばれているという典型的なイタズラをされたサッチ

もちろん怒りは半端ではなく、サッチの周りには目に見えるほどの暗いオーラが漂っている

陽気で普段からあまりキレることがないことで知られるサッチにとっては珍しいことだった

「ニキは今日は見かけねェな」

そんなサッチに言ったのは13番隊隊長アトモス

「かばってたらしばくぞ?アトモス」

「信じろよ」

アトモスは苦笑いした

「でもサッチなんでニキなんだ?」

「プリン食べたいなんてあいつしか書かねェだろォがよ」

サッチは鼻を指差す

食堂にいる船員たちはもう笑うしかなかった

食堂がどっとわく

そんな中で

「ニキならさっき船長の部屋に入って行くのを見かけたが…」

16番隊隊長のイゾウがサッチに向かって言った


「へーそうかい」


しかしイゾウの言葉に答えたのはなぜかマルコ

そしてその顔は若干引きつっていた

「親父かァ………」

エースも苦笑いで呟く

サッチはそんな2人を見逃しはしなかった

「お前らなんか知ってんだろ」

「早くサッチも顔洗って着替えて朝飯食えよ」

エースはパンをかじりながら言う

「話題変えんじゃねェよ炎野郎」

「そォいやサッチこの前の海軍との一戦でおめェの懸賞金また上がってたぞい」

マルコもバナナを食べながら言った

「え!?まじかよ…………っておめェも話題変えてんじゃねェよ!!!!!ってか共食いすんなよな。バナナは仲間だろォ?

「…………………。」

マルコはバナナを食べる手を止めサッチを睨む

殺気十分なその睨みは今のサッチの怒りをはるかに越えていた

「あー……サッチ実はこの前のアンケートでなマルコはパイナップルだっていう方が一票多かったんだ」

エースはマルコの様子を伺いながらボソボソと言った

「そうか……じゃあバナナは共食いじゃねェんだな」

落書きされた顔のままサッチはなるほどと頷いた

「なんだいそのアンケートは」

「オレはバナナに入れたぜ!!ゼハハハハ」

遠くでサッチの友達であるティーチが朝からチェリーパイを頬張りながら叫ぶ

「………………。」

「オレはパイナップルに入れやした」

「私はバナナよ」

「そーいや親父もバナナだったよな」

「………………。」

次々に聞こえてくる船員たちの声

マルコのまわりにも徐々に暗いオーラが漂い始めていた

「そのアンケート
誰がやった?」


「ニキです」

「ニキだよな」

「ニキに聞かれた」

「ニキですぜ」

「ニキはどこ行った」

「だから親父の部屋だって」

エースは呆れて言った

マルコはエースの言葉を聞くといきなり席を立った

「ちょっと待て」

暗いオーラを纏うマルコを同じく暗いオーラを纏うサッチが止める

「??」

「オレの顔のこと忘れてねェよな?」

かわいいピンク色のリボンがほどけかけていた

「マジックを渡したのはエースだよい」

「なっ!!マルコ!!お前だってサッチにすればいいとか言ったじゃねェかよ!!」

「うるせェよい。オレが言ったのはそれだけだい」

「えー!!」

「ニキみたいな驚き方すんじゃねェよい」

「マルコのバカヤロー」

「だからすんじゃねェって言ってんだろい」

「結局おめェら2人の仕業ってわけだろ?」

サッチはひどい顔のまま2人を睨んで言った

「わりぃわりぃ」

笑顔で謝るエース

反省の色は全くなしだった

「だがよあいつ親父の部屋にも行ったんだろ?あきらか落書きするためだよな……」

「一番わりぃのはニキの野郎だ。わかったかサッチ」

マルコはそう言うとサッチの横を通り過ぎた

「いやいやいやいやちょっと待て」

今度もまたサッチがマルコを止める

「謝れよ」

「オレはアンケートの件でそれどころじゃねェんだよい」

マルコはサッチに背を向けたまま低い声で言った

「今からニキを締めにいく」

シーン

再び食堂に沈黙が流れる

しかし今回は笑いをこらえている船員は誰1人いなかった

「そうか……」

サッチはマルコの側に行き肩に手を乗せた

「オレも行くからな」

2人の周りにはどす黒いオーラが漂っていた

「その前に顔どうにかしろいやっぱ笑っちまうよい」

「……お前も締められたいか?」

「ニキやべェ…逃げろ」

エースは1人恐怖で呟いた

しかし
間が悪い人間とはやはりいるもので

「あ!!マルコとサッチ!!おはよー」

そんな人間であるのは食堂のドアの前に笑顔で立つ少女―――ニキ

「ニキの奴……」

「あいつはバカか?ゼハハハハ」

「逃げろ逃げろ」

「隊長たちを止めろ」

エース、ティーチをはじめ食堂にいる船員たちが小声でニキに注意するがそんなものは聞こえない

「あ゛あ゛?」

「よォ…クソガキ」

マルコとサッチは不敵な笑みを浮かべながらニキの前にしゃがみこんだ

「え?え?」

「顔の落書き…どォしてくれんだ」

「オレの出身地は果物屋じゃねェよい」

低い声

そしてそれと同時に

「誰だァ!?オレの顔に落書きした奴ァ!!!?」

遠くから聞こえてきたのは親父の怒声だった


「あ………」


本日2回目の叫び


それは新世界の海を荒れさせ、他の海賊たちを驚かすほど響きわたるものだった





「また白ひげんとこのチビは何かやらかしたか」

「今日はいつになくかわいそうな叫びなんですけど…」

「ありゃもう虐待だな」





afterword


駄作


あきゅろす。
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