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雨のち晴れ


「はらへったなー」


とある雨の日


「はらへったはらへった」


雨が船に打ちつける音がうるさい

「はらへったったったー」

しかし―――

「はらへったったったったったったったったったったったったった………ん?」

バシィイイン!!


「いでェーーーーー!!!!!」

「ちょっと黙ってろ」


なによりニキがうるさかった










今日は久しぶりの雨の日だった

船員たちはそのために各自の部屋にこもりっきり

いつも賑やかな食堂には今は1人の男と女の子しかいなかった

「シャッチ!!!」

「サッチだ。

なんでおめェここにいんだよ」

酒の瓶を片手に食堂のすみに置かれたベンチに座るのは4番隊隊長サッチ

「暇だ。そしてはらへった」

そしてその隣に座るのは2番隊隊員ニキだった

「残念だが、オレに言われてもどォすることもできねェな」

「えー」

「エースんとこ行けよ」

「えー」

「じゃぁマルコのとこに行け」

「えー」

「てめェはオレに何がしてェんだ」

「はらへったはらへったー」

ニキは足をジタバタさし始めた

「ヘヘッ勝手にやってろ」

「うん♪シャッチが食いもんくれるまでやってる」

「じゃぁ一生するってのか?……………ん?」

気づけば扉の所に人影があった

それは食堂にすみにいる2人に気づくと近寄ってきた

「んぁ?おっ、サッチとニキじゃねぇか。こんな所で何してる」

人影はエースだった

「エース!!」

ニキはベンチから飛び降りエースのところまで全力疾走

のつもりだったが―――

「えぇぇええ!?」

なぜかサッチに襟をつかまれ、宙吊り状態になってしまった

「いいところにきたなエース」

「あ?何だ?」

「こいつやるよ」

「え?いらねぇ


ガーンΣ(゚□゚;)


「がぁー!!くそ隊長!!」

ニキは宙吊りになりながら手と足をバタつかせる

「おいおいニキ、そんないきり立つんじゃねぇ」

「黙れ!!シャッチ!!」

「サッチだ。

ガキが…調子に乗るんじゃねぇぞ」

「んだとー!!!」

「だいたいお前がいらないとか今に始まったわけじゃねェだろ」

「シャッチィィィイイイ!!!」

「殴られたいか?サッチだ。

「ちょ、ちょっと待て!!」

エースは焦りながら2人の間に入る

というより宙吊りになっているニキをサッチから離した

「原因はオレだぜ?オレがいらねェっつったのに……なんでお前らがケンカする

「「相性??」」

「声をそろえて言うな」

エースはニキを抱っこしたままサッチの隣に座った

「で、結局何してたんだよ」

「あぁ。オレは1人で酒飲んでたんだけどな……コイツに邪魔された」

「ニキ腹へったー」

「ずっとこう言うんだぜ?」

「あーオレも腹へった」

「お前もかよ」


雨の音は先ほどより強くなっており、ニキのばた足も一層激しくなっていた

ザーザーザーザー

バタバタバタバタバタバタバタ

ザーザーザーザーザーザー

バタバタバタバタバタバタバタ

「ニキ俺を蹴るなよ」

エースの膝に座っているニキのばた足はエースの脚をかかとで勢いよく蹴っていた

「だってシャッチが食いもんくんねーんだもん」

「しかたねェだろ我慢しろよ」

エースはニキの頭をなでながらため息をついてみる

「シャッチ!!!」

「サッチだ。

ひつけェガキだな……よし、ついてこい」

サッチは急に何かを思いついたらしく腰を上げある場所に向かった


ニキも期待の眼差しでサッチについて行く

エースもついて行くことにした

「キッチンじゃねぇか。サッチ料理でもすんのか?」

サッチが向かった場所はキッチンだった

「ハハッまさか、んなことしねェよ」

と言いながら巨大な冷蔵庫の扉を開けた

「おい、ニキ」

「あ?何シャッチ!!」

名前を呼ばれ目を輝かせるニキ

が、しかし―――

「え?え?え?え?」

またも襟をつかまれ

「うぜェからこん中にいろ」


冷蔵庫の中に押し込まれた


「エェェェエ!!!!?シャッチィィイ!!!!?な、何でぇっ!!!」

「教育だ」

「えー!!!まってまって!!凍え死ぬー!!」

「なぁに、んなもんで死なねぇよ」

「ちょっと待っ…

「じゃあな」

「シャッチィィイイイ!!!」

バタン

「…………サッチ」

「大丈夫だ。すぐに出してやる」

ドンドンドン

「………!!…――!!!」

冷蔵庫の中からはニキの必死の叫びが聞こえていた

ドンドンドンドン

「おいサッチ…いくらニキでも」

「お前ニキの世話したことねぇだろ?」

「………………。」

「あいつの生命力はハンパじゃねェよ」

自信満々

ドンドンドンドン

「――――!!」

「へへっ…何言ってんのかサッパリだな」

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

ニキはひつこく扉を叩いていた

バタバタバタバタバタバタバタバタ!!!

が、しかしそれをかき消すかのように食堂に向かって1つの足音が迫ってきた

「エース隊長!!あっ、サッチ隊長も」

「どおした」

「あァ?何の用だよ」

「海軍の軍艦50隻が前方に……まぁ俺らとするつもりじゃぁねぇらしいが………」

「ヘヘッ目障りだな……潰しとくかァ?」

「サッチ…親父に聞こうぜ」

サッチとエースはそう言うとキッチンをあとにした


キッチンは静まり返っていた










夕方―――


結局親父の命令により軍艦50隻を沈めた白ひげ海賊団

その2番4番隊隊長エースとサッチは食堂に向かっていた

晩御飯を食べるためである

しかし食堂の様子がいつもと違っていた

ザワザワザワザワ……

食堂のキッチンに群がる船員たち

エースとサッチは何か気になりすぐそばにいた1人に聞いた

「どうした?」

「いや……コックがキレてるんだよ」

「何だ?包丁で自分の手切って逆ギレかァ??ハハッ」


「ニキが冷蔵庫に閉じこめられてたんだ」


「あ…………………」

「…………………。」


―――忘れてたー!!!


「それでニキが冷蔵庫に入ってた食材全部食っちまったらしいんだ」


ゴーン!!


「ニキのやつ…」

「…………………。」


「コックが誰が入れたんだってカンカンだったぜ?」


ザワザワザワザワザワザワザワザワ

エースとサッチは無言でその場に立っていた

そこに静かに現れたのはマルコだった

「おおかたわかってんだい」

一言そう言うとマルコは深いため息をついた

そして

「てめェらが入れたんだろ」

「まぁ……サッチがな

「うるさかったんだよ」


「………それは別にいい」


「あ、それはいいんだな」

「マルコそれはOKなんだ」


うるせェよい。……それより…今日の晩飯はどォすんだい」

「……………。」

「……………。」

最もなことだった

「それからニキなんだがな……みんなはらへって機嫌わりぃから……この通りだい」

ザワザワザワザワザワザワ

マルコの指さす場所

それは人混みから少し外れた所―――


「シャッチ………エース………」


そこにはみんなから受けた傷が痛々しいニキが横たわり


「覚えてろ………」


2人を睨んでいた


あきゅろす。
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