[携帯モード] [URL送信]
君の笑顔が好き



「〜♪〜〜♪♪〜♪」


昼間だというのに誰もいない甲板から楽しそうな鼻歌が聞こえてくる

「〜♪〜〜〜♪♪〜♪〜♪」

船首がくじらの大きな船で小さな女海賊――ニキが前に自らの隊長エースからもらったチョークで落書きをしていた

「これはオヤジ!!」

そう言って船の壁に描かれたのは、この船の主であり、白ひげ海賊団の船長、そしてニキにとって大切なオヤジであるエドワード・ニューゲートだった

気のせいか白いひげがやたらと大きく描かれ体がほとんどなくなっている

「エースと……シャッチにぃ…」

続けてニキは白ひげの隣にエースとサッチを描いていく

「ジョズとキレイなナースさん!!」

次々に白ひげ海賊団のクルーたちを描いていくニキ

「あ、マリュコ忘れてた!!」

気づけば甲板はニキの落書きでいっぱいになっていた

「できた!!!」

最後の1人を書き終えたとき、ニキの中ではなんとも言えぬ達成感があった

「ん?」

「……………。」

「あ……」

気づけばニキの目の前にはマルコがたっていた

ニキはマルコを見るなり満面の笑みを向けた

「ニキ、コレ何だよい」

甲板のあまりのすごさにただただ驚く1番隊隊長

「すごいだろ!!」

ニキは自慢げにマルコのそばに駆け寄った

「みんなを描いた!!!」

「……………」

マルコは甲板全てを見回した

白ひげ海賊団のクルーの全員の笑顔―――

それは白ひげの座る椅子の下にまで広がっていた

「………………。」

「何か言えー」

「………………。」

「マリュコ!!」

「ヘタクソ」

「………………。」

「嘘だい。」

「………………。」

「すげェよい」

「ひひひっ!!!」

ニキは顔をクシャクシャにしたような笑顔をし喜ぶ

だが、しかし―――

マルコは1つの現実をニキに言った

「でもすげェのは認めるけどよい…てめェが落書きした所は甲板なんだぞ……。」

「えー…。ダメなの?」

「ったりめェだ」

「うーん……」

「………………。」

「まぁいいじゃん!!」

笑顔全開

ニキはそんなことなど全く気にすることなくマルコのそばに駆け寄り、とある一点に指を向けた


「あれ!マリュコな!!!」


そこには今のニキのような笑顔を浮かべたマルコがいた


―――……………。


「全然似てねェ」

「えー!!!!」

どお見ても似すぎている絵を見て、なぜかマルコは照れくさくなり、思いもしない言葉をニキに言った

「俺はあんなんじゃねェよい」

デコピン

バチィィイイン!!!

さすが1番隊隊長

手加減なしの威力はすごかった

「ぃったぁー!!なにすんだ!!!」

「うるせェよい」

「だぁー!!!マリュコのばかやろー」

「おい。そんな言葉どっから覚えてきた」

「マリュコのマネだ!!」

「てめェ
またデコピンされてェのかよい」


ガチャリ


「???」

「???」


突如ドアが開いた

「グラララララ!!どうした?マルコにニキ」


「親父」

「オヤジィー!!」

後ろから現れたのは白ひげだった

ニキは白ひげを見るやいなや白ひげにむかって大ジャンプ

ピョンッ

ガシッ

そして白ひげの左肩にしっかりつかまった

「オヤジ聞け!!」

「何だニキ」

「マリュコにいじめられた」
「あぁ?マルコ、ニキをいじめたのか?」

「ちげェよい。しつけてたんだよい」

「しつけか…グララララ。ニキは犬か」

「ニキは犬じゃねぇ!!」

ポカポカとマルコの頭を叩くニキ―――

「悪かった!悪かったよい!!」

マルコはニキからの攻撃を手で防御しながら叫んだ

そんな2人はまるで本当の兄妹

白ひげは2人を見て笑いながら目の前の甲板に目を向け

そして

「それよりもおめェら…なんだこれは?」

と一言呟いた

白ひげの言葉で2人が止まる

ニキの表情は
一気にまた笑顔に戻った

「オヤジ!!ニキが描いたみんなだよ!!」

「グラララララ、てめェやるじゃねェか。俺も描いてくれてるんだろうなグラララララ」

「ニキがオヤジ忘れるわけねェだろい」

「オヤジはあれ!!」

「ん?あれか、グラララララ…ってほとんど髭じゃねェか!!」

「オヤジは髭だろ?」

「そうか!俺は髭か!!!グララララ!!!」

白ひげの大声に反応してクルーたちが甲板に上がってきた

「なんだこれ!!」

「うおっ!甲板に顔!?」

「チョークで真っ白だ」

次々に上がってくるクルーたちは甲板のあまりの変わりように驚くばかり

「あ、親父に隊長……一体これ」

「ニキが描いた俺らだよい」

「えぇっ!!クルー全員っ!?」

ざわざわ……

甲板にはもう先程の静けさなどなく―――

皆が皆、ニキが描いた自分を見つけるのに騒いでいた

「ニキやるなぁ!!」

「こんなスゲーのに甲板に描くなよ………トホホ」

「そんなこといーじゃねぇか!……ってそうか…お前今日ここの掃除当番だもんな」

「消すのもったいねーぞ?」

「俺がすげぇ笑顔だ…」

「どこにいんだよオレ」

「グラララララ!!!」

白ひげはというと笑ってばかり

「船長?ちゃんと座っててください」

気づけば白ひげのまわりにはヒョウ柄タイツのセクシーなナースたちが数人立っていた

ニキはひとりのナースに抱きかかえられ白ひげから引き離される

「今から船長を治療するからね」

そう言いながらナースはニキをマルコに渡した

「マルコさん、お願いします」

「わかったよい」

「オヤジー!!マリュコイヤだ!!」

「………………

「うぅ……………」

結局ニキはマルコに抱きかかえられることになり、白ひげはというとセクシーなナースたちに若干説教をされていた

「船長行きますよ?」

「うるせぇグララララ。ニキの絵を踏むわけにはいかねぇだろうが」

「ではここで看護させていただきます」

ナースがそういうと白ひげ用の特大いすがすぐに現れ、体にはみるみるうちに管が付けられていった

「なぁマリュコ…マリュコはキレイなナースさんが好きか?」

「なんだいきなり…」

「ずっと見てた」

「親父を見てたんだよい」

白ひげが治療を受けている間マルコとマルコに抱きかかえられたニキは先ほどの場所にずっと立っていた

「マリュコはセクシーな人が好きなのか?」

「俺に蹴られてェのか」

「ニキが大きくなったらあんなのになれると思うか?」

「てめェはなれねェよい」

「くそバナナ!!!」

「………………

「くそパイナップル!!!!」

「おい、ニキ」

「え?」


ポイッ


ニキは何が起きたのか全くわからなかった

自分の体が宙に浮いている

目の前には海が広がっていた

「海!?」


「甲板に落書きしたこと反省してこい」


「えぇぇええー!!!そっちぃー!?」


「クソガキ」


「嘘だぁー!!ぜったいそっちで怒ってないくせに!!!」

どんどんどんどん落ちていく

「マリュコのばかやろー!!」


ドボーン!!


「ぎゃぁぁあああっ!!あっぷあっぷ……」

くじら船は大きいため、海に落とされたニキは米粒ほどにしか見えなかった

しかし溺れていないらしく、ニキはマルコに向かってひたすら何かを叫んでいた

「あ………――およ――!!」

「あいつ何叫んでんだよい」

「たっ――隊長!?」

「引き上げてやれ」

マルコはそばにいた隊員に言うと、スタスタと部屋の中へと入っていった


しかしマルコは知らない


海に落とした少女――ニキ


この小さく無邪気な女の子が魅力的な1人の女海賊に成長することなど―――


そしてマルコがそんな女海賊に恋をするのはまだまだ先のお話


あきゅろす。
無料HPエムペ!