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僕らのくじら一家




「ォ………ー!…ヤジィ…!!」


とあるくじらの船に少女が1人

「ォャジー……オ…ジー!!!」

ダダダダダダ

「オヤジィー!!!」

ダダダダダダ…ッ

ガシッ!!!!

「あーそーぼー!!!!」


まだまだパパっ子の無邪気な海賊である










小さな女海賊と隊長たちとのほのぼのライフ










「グラララララ!!朝から元気だなァてめェは!!」


白いひげをはやした大柄すぎるほどの男は朝から酒を片手に豪快に笑った

「オヤジ♪オヤジ♪」

ニキはその男の腕にまるでだっこちゃんのようにしがみついている

「何だ、ニキ」

「あそぼっ!!!」

バシィーン!!!

「ぐぇぇえ!!」

突如後ろから頭を叩かれ吹っ飛ぶニキ

「ってい!!だれだァ―!!」

「グラララララ!!!サッチてめェ俺の可愛い娘に何してやがるグラララララ!!」

「孫だろ?オヤジ…」

「細けェこと気にすんじゃねェ!!グラララララ!!!」

「シャッチ!!」

ニキはそう叫ぶと、自分の頭を叩いた張本人白ひげ海賊団4番隊隊長サッチに

てちてちてち……

ドスッ!!

まだ短く細長い小さな拳をみぞおちにヒットさせた

「ッ…………サッチだ」

ニキは小さな小さな女の子

たが戦闘能力はハンパではなくこの年にして2番隊に所属している

「シャ…シャ……シャッチ!!!」

「サッチだ」

「シャッチィィイイ!!!」

「…………サッチだ」

まだまだ成長途中

歯が子供から永久歯にかわるこの年頃

前歯が抜けたニキはまだ《サ》を《シャ》としか言えずよくバカにされていた

「グラララララ!!」

「笑うなァオヤジ!!」

「グラララララ!!」

「笑うなァ……」

ヒョイッ

不意に後ろから抱えられた

「何すんだぁシャッチ!!」

「サッチだ。オヤジはお前と遊んでるほど暇じゃねェんだよ、ほら行くぞ」

「離せェー!!!」

ジタバタしようが髪の毛を引っ張ろうが相手は大人の男

ビクともしない

「オヤジと遊ぶんだー!!!」

「黙れ」

「グラララララ!!」

「オヤジィィィー!!!(泣)」









ニキはサッチに抱えられたまま食堂まで連れて行かれた

「なぁシャッチ朝ごはんか??」

「サッチだ。あぁそうだぜ。」

ぷ〜ん

おいしそうな玉子焼きのにおいが漂う

ぐるるるぅ〜……

「シャッチぃ〜腹へった下ろして」

「サッチだ。やだね。」

ガチャ―――

サッチは小さなニキを抱えたまま食堂のドアを開けた


「よぉサッチ!っておいニキお前また何かやったな?」


食堂に着き入るやいなやサッチとニキに声をかけてきたのはまだ若々しい青年

「エースー!!」

それはニキの所属している部隊の隊長ポートガス・D・エースだった

「相変わらず敬わねぇな」

「エース!!助けろエース!!シャッチが下ろしてくれない!!」

「サッチだ。俺がわりぃみたいに言うなよ…」

「まぁまぁ。サッチも下ろしてやってくれよ」

「ニキはお前の部下だろ。お前がしっかり見てろよ………」

「わりぃわりぃ。俺に免じて許してやってくれ。それに
それじゃあ朝飯食えねぇだろ?今日はマルコが作ってんだ」

「マルコが?」

「早起きしすぎて暇だったんだとよ」

「マリュコのごはん好きー」

「「マルコな」」

ニキは《ル》も《リュ》としか言えず、サッチとマルコの名前はいまだに呼べていない

「マリュコ〜!!マリュコ〜!!!」

「「マルコな」」

「あー!!もーみんな食ってる!!!シャッチおろせー!!!シャッチ……うぇえっ!?」

ドスン

顔面から落下

「う゛ぅ……シャッチぃ…」

痛いぞ?マジで痛いぞ?

「サッチだ。おろしてやったぞ?」

そう言うとサッチははははっと笑い食堂の奥に入っていった

「シャッチ覚えてろ……」

「ははははっお前大変だなぁ」

「エース…」

「早く行かねーと朝飯なくなっちまうぜほら、立てよ」

エースは床にうずくまるニキの腕をとり体を起こさせた

「ありがと!!隊長っ!!!」

ニッコリ

ニキはてちてちとエースに続き食堂に入った










「マリュコはパイナップルみたいだよねモグモグモグモグ………」

「うるせェよい」

「その髪型が葉っぱみたーい」

「だから黙ってろいっての」

「しなびた葉っぱだねー♪」

「船から突き落とすぞい」

「……………………。」

モグモグモグモグ…

食堂には隊長たち専用のテーブルが存在する

そこには親父と隊長以外の部下達など絶対に座ってはいけないという決まりがあり、船の中でもそれは暗黙の了解となっているのだが……

ニキは今その隊長たちが座る席に堂々と座りながらバナナを食べていた

しかも白ひげ海賊団1番隊隊長マルコの隣で

「ねーマリュコー食べ終わったらかくれんぼしよー」

「1人でやってろい」

「ケチ」

「無理言ってんのはどっちだよい」

「マリュコ〜!!!」

「………………。」

「ねーねー」

「………………。」

マルコはニキを完全に無視しパンを口に運んだ

「マリュコー!!!!」

「エース…黙らせろい」

「ハハハっ、自分でやれよ」

「……………………。」

ニキはマルコの反応が気に入らなかった

何かマルコにうんと言わせる方法を小さい頭でバナナを見つめながら一生懸命考えるニキ

―――ん?

ニキはバナナの皮を見て気づいた


「マリュコはバナナだね」


ブゥッ!!!

「プハハハハハっ!!バナナか!!そりゃ傑作だな!!!」

ニキの言葉に爆笑するエース

「………………。」

「あー悪かった。悪かったマルコ許して………クカーzzzz

「………………。」

「寝やがった」

「いつものことじゃねぇか」

朝ご飯を食べながら呟くジョズとサッチ

「シャッチ!!」

「サッチだ。わりぃなニキ」

「ジョズ!!」

「仕事があるからな……」

「まだ何にも言ってないー!!!!」

ニキは足をバタバタさせる

そしてやっぱり

「マリュコ〜!!!」

「………………。」

「マリュコ〜……」

「………………。」

「マリュコ……」

「………………。」

「……………。」

仕事があるから忙しいのは小さいながらでもわかるニキ

それでもやっぱりかまってほしい

最近はなかなか一緒に遊んではもらえていなかった

ニキの目にはいまにも涙が溢れそうだった


「わかったよい」


マルコはそう言うとニキの頭をポンポンとなでた

「え?」

「………………。」

「え?え?ニキとかくれんぼしてくれるのか?」

ニキはマルコの腕を掴みながらひたすらマルコの目を見つめ続けた


「うるせェよい」


「やったー!!大好き!!パイナップル!!!」

「…………………

「あ、ごめんなさい」





「マルコが意外とそうやってニキを甘やかすんだよなー」

「エース…てめェ寝てたんじゃねェのかよい」





見た目はスッゴい怖いけど

だけど本当はスッゴい家族想い


そんな優しいお兄ちゃんたちがニキは大好きだ


あきゅろす。
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