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僕とあなたと





中学三年夏―――――泉光子郎






今日はめったに来ない
図書館に僕は来ている―――


受験勉強のために―――






あの人と同じ高校に通うために










DEJIMON ADVENTURE No.4

僕とあなたと









独特な静けさと雰囲気―――


本を読む人

勉強してる人




案の定
夏休みということもあって
図書館内の机、椅子は
ほとんど受験生や
大学生で埋まっていた


――――これじゃあ
僕の勉強する所なんてありませんね…。


根気よく空くのを待っていようか?

それとも家に帰ってした方がいいのだろうか?


家ではなんとなく気が散って
集中することができないから
ここに来たのに………。



「……………。」



――――やっぱり帰ったほうが時間の無駄にならないかな………?



「帰ろう………」



来てたった三分

僕はあきらめて帰ることにした



図書館の出口を目指して歩き出す



その時だった―――




「あり?光子郎???」




帰ると決めてたった十秒

僕はやっぱりいることにした



「しっ―時雨さん!!」



まさかこんな所で会うなんて!!


僕の中の
図書館で絶対に会うことはないだろうランキング――――
ずば抜けて一位だった
時雨さんに!!!


できれば偶然とかで会いたいとか
思ってたけど
本当に会うことができた僕は
運がいいのだろうか??



「何だよー光子郎。あ、光子郎ぉー!!お前、あたしが図書館に行きそうにないタイプだから正直ビビったんだろ」


「いっ――いえ……そんな!!」


「光子郎」


「はい」


「君は思ったことが顔にでるんだよ」


「すみませんでした」


はははっ―――時雨さんが笑う

つられて僕も笑った














「んで、何で光子郎はココにいんの?」


「受験勉強するためですよ。
だけど席が空いてなくて
それで帰ろうとしてたんです。」


僕は今、時雨さんと一緒に
意味もなく図書館内を
歩きまわっていた――――


特に意味のない
俗に言う[くだらない話]をしながら


1人だったら絶対
時間の無駄だ――って思っていただろう

でも僕にとって
時雨さんと一緒にいる時間は
どんなことをしていようとも
無駄なんてことは絶対ない





それだけ好きなんだ



時雨さんのことが―――






「時雨さんは何しに??」

今度は僕が時雨さんに聞いた

「えとねー……」


うん。僕はあなたが何を言うのか
だいたい予想はついてます。


「暇だったから遊びに来た!!!」


ビンゴ!!

By 京


「やっぱり………」

はぁ〜…とため息をついてみる

「なっ!!なんだよ光子郎!!
しかも若干の京ちゃんの登場って!!」

「時雨さん……
図書館は遊びに来るとこじゃないでしょう……」

「いやさぁ〜、勉強してる奴にちょっかい出そうかなとか思ってきたんだけど……」

「………………。」


「知ってる奴1人もいなかった」


「それでいいと思います」




「丈しかいなかったんだよなー」




「いるじゃないですか!知ってる人!!」

「はははー」

「はははじゃないでしょ」


そんな話をしながら
僕たちは
図書館の出口にまた近づいていた



――――図書館からでたら
時雨さんは帰ってしまうんだろうか??




僕の左隣に時雨さんがいる


僕と時雨さんの間は
たったの10pほど

ちょっとでもよろけたら
くっついてしまうだろう


だから僕の心臓はずっと
ドキドキして
破裂しそうなぐらい
バクバクしていて――――



僕は図書館の出口の前で
右に曲がった




まだ一緒いたいんです////




「丈に会ってさ
勉強の邪魔しようとか思って
話かけたら………」


僕の顔赤くないかな………?

出口の目の前で急に曲がったこと
不自然に思われてないかな?


「反対に勉強教えられちゃったよ」


心臓の音
聞こえてませんように――――


「なぁ光子郎?」


「へ?あっ、はい!!」

「さっきのあたしの話」

「………。」

「聞いてなかった」

「…………はい」


――――すいません
時雨さん


「そだっ!!」

不意に叫ぶ時雨さん

静かな図書館の中だったから
かなり響いた―――

「光子郎は受験生だろ?!!」

「はい……」


「勉強教えてやる!!!」


「本当ですか?」


「だから光子郎!!お前んち行くぞ!!!」



時雨さん―――
あなたは恋愛に鈍感すぎます




でもだからこそ僕は
あなたが好きです




「はい!時雨さん!!」





光子郎は
自分より小さくなってしまった
想い人を優しく見つめていた

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あきゅろす。
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