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図書委員長とおれ


委員長の黒い笑みに逆らうことも出来ず、言う通りに隣に座る。その瞬間、鉄拳が頭の上に落ちてきた。痛い…っ

そして椅子の上に正座をさせられ、その状態のまま20分間お説教をされている、という流れだ。もちろん、今も正座続行中。


「西花、次から俺の話をよーく聞けよ?」
「はい…」


正座慣れしていない俺の足が痺れて、もじもじさせているのに気づいたのか委員長は、最後に黒い笑みを貼り付けたまま釘を刺してお説教から開放してくれた。

怒ってた委員長…怖かった…。笑顔で怒られる怖さを初めて知ったよ、潤ちゃん。うん、話ちゃんと聞く。嫌われたくないし。

反省も含めて、しゅんとなりながらも素直に頷いた俺の様子を見た委員長は、暫くの無言の後、姿勢を楽にすることを許してくれた。それに素直に従って、痺れた足を伸ばしてホッと息を吐く。


「さて、図書当番の話をするぞ。てっとり早くいうと、ここの図書室の当番は俺とお前だ。他の2つの図書室は校内にあるから利用者も比較的多く、先ほど他の委員で分担した。この図書室は利用者も少ないから忙しくはないだろう。充分俺とお前の二人だけで働ける。ただし、二人だけだから毎日来てもらうことになる。いいな?」


有無を言わせない委員長の言葉は、俺にとって嬉し過ぎるものでなかなか反応示せない。

それって、毎日会えるってことだよね?!
やっばい…ホント嬉しすぎてにやけそう。
でも、にやけたら確実に不思議がられるか怒られるので、俯いて我慢する。


「あー、その…なんだ」


何も言わない俺に何を思ったのか委員長の罰の悪そうな声が頭上から聞こえた。

何だろ?
不思議に思って顔をあげようとすると、頭の上に再び暖かな重みが落ちてくる。


「わっ」
「…勝手にここの図書当番にしたことは謝る。嫌かもしれないが、一緒に頑張ろうな。…ああ、もうこんな時間だ。そろそろここも閉めないとな」


苦笑混じりに委員長が俺の頭を撫でながらそう言って、立ち上がる。

本日2回目の頭を撫でられる行為に、俺の顔に熱が集まった。それを知られないように顔を俯かせる。…これ耳まで真っ赤なパターンじゃないよね?!

でも、どうしても言いたいことがあって…慌てて椅子から立ち上がる。思いのほか立ち上げる時に、大きな音を立ててしまって、遠くの方で窓閉めをしていた委員長が俺の方を不思議そうに見る。
夕陽に赤く照らされた委員長の横顔に見惚れそうだ。


「あー。オレェ、いいんちょーと一緒に仕事出来るの嬉しーです。だから、こんな不束者ですがー…明日からよろしくでっす!」


誤魔化すように普段よりも間延びさせたしゃべり方でそう言って、そのまま足早に扉まで行く。


「じゃ、お先に失礼しまーす。さよーならー」


赤い顔を夕陽のせいにして、扉を開けたまま振り返って挨拶。扉を閉める前に一瞬だけ見えた委員長の顔は呆気にとられていて、その顔をゆっくり見る余裕もない。

返事なんか聞かず、外に出た瞬間頬の熱を冷ますように走り出す。


やばい…顔あっつい。











「ははっ、何だそれ。不束者って…嫁にでもくるみたいな。……よろしくな、西花」


だから、残った委員長が俺の言葉に可笑しそうに笑って、そう言ってたことなんて知らない。









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