図書委員長とおれ 6 俺は、俺達委員の前に立って喋っている委員長をただずっと見ていた。だって、こんな時でなきゃこんなに堂々と見れない。第一、学年が違うから毎日見れる訳じゃないし。これを利用する手はないってことだよ。 仕事をしている委員長の姿は本当にカッコいい。出来る男って感じだ。女子にも人気だし、尊敬している人はきっといっぱいいる。顔も整っていて、更にスポーツも勉強も出来る。 人気が出ない訳ないけど…俺からしてみればおもしろくない。付き合ってもない…ましてや男の俺が男の先輩に嫉妬なんておかしいかもしれないけど、仕方ないじゃないか。 本気で好きなんだ。俺は、この人が。 じっと委員長を見続けていると、不意に目があった。まさか目が合うとは思っていなかったので、動揺してしまう。俺の反応を見た委員長が眉間に皺を寄せる。 え、何? 俺、何かしたっけ?! 「西花、お前…俺の話を聞いてたか?」 その言葉に俺はキョトンとする。それに何を思ったのか、委員長が今度はニッコリと微笑んだ。 「よし、西花。ここの図書室はお前が担当に決定だ」 「へっ?」 ここの? 俺担当? 何のことか全く分からなくて、頭が混乱する。 「ということで、ここの図書室は俺と西花になった。あと他二つの図書室は利用者も多く忙しくなるだろうから、残った全員で場所と日にち決めるぞ。都合が悪い日があれば遠慮なく言ってくれ」 俺の混乱を他所に委員長はどんどん話を進めて行く。そして、委員長は10分もしないうちに手早く話をまとめてしまった。置いてけぼりの俺は、それを邪魔することも出来ず、呆然と見てることしか出来ない。 「当番表は、明日までに作成して担任の先生に渡しておく。各自できちんと貰うように。当番はさっそく明日からだからな。明日が当番の人は、忘れんなよ。では、解散」 次々と委員達が帰るなか、俺はどうしたらいいのか分からなくてその場に呆然と留まるしかない。 そんな俺に、同級生の男子や仲のいい先輩達の数人から「ありがとう。俺達の救世主」、「頑張れよ、西花」という励ましや応援の言葉を笑顔や苦笑で送られた。なかには、肩をぽんぽんと励ますように優しく叩いてくれた人もいる。 どう反応していいか分からなくて、図書館から出て行く皆をただ見送った。 「西花」 呼ばれて、後ろを振り向いてみると……笑顔の委員長がいました。完璧過ぎる笑顔で、隣の席へ座るように促される。 「色々と説明がある。こっちへこい」 「…ハイ」 あれ? 委員長、確かに綺麗な笑顔なんだけど…黒いよね? あと、それ説教も込みですよね。ごめんなさい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |