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図書委員長とおれ


教室から出るとすぐにダッシュで図書館に向かった。図書館までの道のりは、結構長い。今いる教室や職員室等の棟とは離れていて、行くのに時間が掛かるんだよね。

持ってる鞄を邪魔に思いながら中庭を横切って暫く走ると、やっと図書館が見えてきた。大分近くなってきた所で、走るのを止めて歩くのに切り替える。

全速力で走ってきたから額には汗が浮いてるし、滴り落ちる汗が気持ち悪い。それをグイっと乱暴に拭いつつ、図書館に足を進める。服のズボンのポケットから携帯を引っ張り出して時間を確認。4時28分か。


良かった。なんとか時間には間に合いそう。


ホッとしながら、目の前の建物を見上げた。図書館の外観を見ていつも思うんだけど、本当に図書「室」じゃなくて図書「館」の域だよねこれ。

息を整えるついでに、図書館を改めてジッと見てみる。この学校の図書室の一つは、何故かこじゃれた古い洋風の一戸建ての家みたいな外観だ。薄汚れたクリーム色の壁。巻き付いている蔦は、ファンタジーっぽい気がしなくもない。

だからなのか、うちの学校の生徒のほとんどはそんな図書室を図書室ではなく、図書館と呼ぶ。まぁ、外見からして合ってるっちゃ合ってるんだけど。

そんな事をつらつらと考えていると、走った為に荒くなった息も段々と整ってきた。そこで漸く、時間が無いことを思い出して、扉のノブに手を伸ばそうとした時だった。


ガチャ―


扉が開くと同時にそこから顔を覗かせたのは――


「西花?」


俺よりも少し背が高いノンフレームの眼鏡を掛けた男前だった。眼鏡の奥にある普段冷たいとも思わせる瞳は、微かに瞠られている。

あまりにも予想してなかった想い人の登場の仕方に、俺は思わずポカンと阿呆面を晒してしまった。それでも、取り合えず何か言わなきゃと思ってなんとか口を開く。


「遅れま、した…?」
「なぜ疑問系なんだ」
「ちょっと混乱してて、多分それで…ですかねー?」


俺の言葉に眉を寄せた委員長は、俺をジッと見た後に一つ溜息を吐いた。そして、中に入れと促される。それに素直に従って、図書館の中に入った。

突然のことに人間の頭はついていかないって本当なんだな…。それでもチャラ男の口調のままって、俺って凄くない?

うん、ちょっとした現実逃避です……すいません。









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