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図書委員長とおれ


「さーいか!」
「うわっ」


行儀が悪いとは思いつつ自分の机の上に座って、携帯を弄っていると自分の苗字を呼ぶ声と共に背中にズッシリとした重みを感じた。吃驚して思わず持っていた携帯を落としそうになる。


「もーう、危ないっしょ。中村くーん?」


背中に圧し掛かっている奴に向かって、いつも通りの緩い口調で諫めてみる。
効くとは思わないけどね。


「悪ぃ悪ぃ」
「まー、いいんだけどねー」


案の定、大して悪びれもなく謝られた。思わず苦笑を漏らしてしまうのは仕方ないと思うんだ。


「それにしても西花さんや?」
「何かね、中村さんや?」


背中に張り付いたまま話を続けるつもりらしく、中村は離れてくれそうにない。正直腰が辛いけど、仕方ないのでそのままの状態で中村の口調を真似て返してみた。


「随分、機嫌良さそうに携帯を見ていらっしゃいましたよねー?」
「…それがどうか致しましたかな?」


中村の言葉に内心ドキリとしながらも、平然とした口調を保った。すると、中村は何を思ったのかいきなり俺の首に腕を回して絞めてきた。


「このっ しらばっくれやがって! どうせ、またカワイ子ちゃんと会うんだろ?! この尻軽! 浮気者!」
「ちょ、ひどい! てか、首絞まるっ ぎぶ、ぎぶっ」


中村は元の口調に戻るやいなや、いきなり怒りを露にそう言い出した。その検討違いの言葉に内心ホッとした。けど、更に腕に力が加えられて息がしにくい。

一応手加減はしてくれてるんだろうけど、それでも苦しいもんは苦しい。しかも、前後左右に揺らしてくるもんだから、気分まで悪くなって…うぷ。

そろそろ本当に吐きそうなんだけど…。
そんな時、俺を救う声が後ろから掛かってきた。


「中村ー、西花を殺す気? いい加減離さないとホントに死んじまうぞー」


その声で、中村は渋々揺らすのを止めてくれた。腕はまだ首に掛かったままだけど。少し気分が悪いけど…吐き気はマシになった。…気がする。

俺にとっての救世主の声音は、若干面白がっている気がする。てか、きっとそうだ。でも、今はそれも気にならないよ、うん。ありがとう、俺の救世主!

中村が後ろにいるから、動きにくい…。それでも、顔だけでもなんとか後ろに向けた。


「鈴木、ありがとー」
「いえいえ。中村ったら、プレイボーイの西花君を殺す気ー? 女の子に刺されちまっても俺は知らねーぞ?」


ちょっと体勢が苦しかったが、命の恩人(?)である鈴木にヘラっと笑ってお礼を言う。俺に軽く返した鈴木は、邪魔するなよ、と言いたげな中村に向かっておどけたようにそう言った。
刺されるって大げさな…。


「それは勘弁」


その言葉に中村は、あっさりと納得したように肩を竦める。ついでに、俺の首に回していた腕を取ってくれた。

うん、自分がどう思われていたのかこの短時間でよく分かったよ。自由になった首にホッと息を吐きつつ、ものすごく複雑な気分になってしまった。







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