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図書委員長とおれ
11

「うわー、何か妙に緊張してきた。ねぇ、どうしよう潤ちゃん」


放課後になってみると、今度は嬉しさよりも緊張が勝ってきたのだから不思議だ。部活に行く前の潤ちゃんを捕まえて、あまり人が来ない廊下まで引っ張り冒頭の言葉を零した。


「…乙女か」


俺に腕を掴まれたままの潤ちゃんは、苦笑顔だ。
う…それを言われると、もう何も言えないんだけど。なんだか情けなくなって俯く。


「うー、俺だってそう思うよ…でも、」


まだ委員長に会ってもいないのに心臓がドキドキいってる。これから放課後を一緒に過ごせる事がどうしようもなく嬉しい。…けど、それ以上に凄く怖いんだよ。

委員長の事が知りたい、でも俺の嫌な部分を知られたら?

一緒にいたい、でも一緒にいて何か失礼なことをして嫌われたら?

頭の中で、考えてもどうしようもないことが浮かんでは怖くなった。


「…阿呆面。恋愛初心者めが。いいから、ほらさっさと行ってこい」
「った」


俺の額をデコピンして、呆れ顔で潤ちゃんは続けた。
阿呆面って酷いよ…そりゃ、情けない顔してる自覚はあるけどさ……。


「恋なんて、んなもんだろ。あーだこーだ悩んでる暇があんならさっさと図書館に行って、先輩の心を射止めるなり、誘惑するなりしてこいこの馬鹿」


そう言った潤ちゃんは何だか苦しそうな困ったような顔をしている。俺が何かを言う前に潤ちゃんは、いつもの笑顔に戻って頑張れよって俺の頭を撫でて、行ってしまった。

なんだろ…潤ちゃんのあの顔。なんでか追いかけることも、声を掛けることも出来なかった。

暫くそこで、呆然と立ち尽くしていたけど時間も迫っていたこともあって、潤ちゃんのことは気になったけど俺は急いで第一図書室へと向かった。


そして、今はその扉の前にいる。大きく息を吸って吐いて…何回目かの深呼吸をしてやっとゆっくり扉に手を掛けた。


ゴンッ


「〜っ」


開けようとした時だった。扉が急に目の前に迫って、えって思ってる間に俺のおでこに――





直撃した。















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