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図書委員長とおれ


十分に潤ちゃんにからかわれた後、いじけながらも今日放課後に何があったのか全部話した。ところどころで、またからかわれたりもしたけど…潤ちゃんも一緒に喜んでくれて、話し終わった後に良かったな、って笑って頭を優しく撫でられた。

それが嬉しくて、でも少しだけくすぐったくて俯く。だから、俺は潤ちゃんがどんな顔をしていたかなんて分からなかったんだ。

突然、窓の向こうから俺の名を呼ぶ声が聞こえた。二人揃って窓を見ると、俺の実の兄である由樹(ユキ)兄が困り顔を覗かせていた。


「いつまで潤君のところにいる気? ご飯食べる前に、さっさとお風呂入っちゃいなさい」
「由樹兄! あ…お帰りー」


呑気にそう言えば、由樹兄が笑顔でただいまと返してくれた。


「ああ、ほら早く入っておいで。母さんのご飯が冷めちゃう」
「ごめん、すぐ行くよ。潤ちゃん、今日はありがとね」


由樹兄の言葉に慌てて自分の部屋へと戻る。振り返って、潤ちゃんに笑顔でお礼を言えば苦笑を返される。わたわたしながら、着替えを引っ掴んで風呂場へと向かう。




Side 潤


慌ただしく風呂場へと向かう優の後ろ姿を由樹さんと一緒に見送り、俺達は顔を見合わせて苦笑した。


「ごめんね、優がいつもお世話になって…」


困ったように、でも優しく微笑みながらそう言う由樹さんは相変わらずマイナスイオンが出まくっていると思う。


「別に平気だよ。それにしても久しぶりだね、由樹さん」
「うん、久しぶり。こんなにカッコよくなって…お兄さんビックリ」


そうおどけたように言うこの人は、素の優以上にのほほんとしていて柔らかい雰囲気を常に纏っている。顔は優と良く似ているけど、全体的に優しさが溢れたような感じだ。

俺にとってもお兄さんみたいな存在だ。現在大学生で、俺の兄貴である秦(シン)兄さんとも同い年であり、同じ県内の大学に通っていたりもする。あ、そういや兄貴が言ってたな…


「あー、兄貴が飯食った後でいいから部屋に来てほしいってさ。何でもレポートがどうとか…」
「まだ書いてなかったんだ。全く…仕方ないね、秦は」


呆れたようにそう呟いた由樹さんに、苦笑しか出てこない。


「うちの兄貴こそいつも世話になっているようで…」


由樹さんと少しの間会話をした後、部屋に戻る由樹さんを笑顔で見送った。

一つ息を吐き出して、ベッドに寝転がり、優との会話を思い出した。今日は図書委員長とたくさん話をした…というよりも説教をくらったみたいだ。

それから1度だけでなく、2度も頭を撫でられたらしい。初めて委員長に触れられたって、照れくさそうに言っていた優の顔。

そして、明日から第一図書室―通称図書館の図書当番をする事になったらしい。……委員長と二人で。そのことで、本当に嬉しそうに笑った優。そんな優の姿に、喜んでいる自分がいるはずなのに……こんなにも胸が痛い。


「…なーんてな」










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