紅凜学園 誘ってなんていません 「し…雫っ…お前どけって!」 「やだーっ!姫色ちゃんと涼ちゃんと仲良く話してる快音が悪いんだよぉ?ヤキモチ妬いちゃうでしょ!」 何だこの状況……てか、涼ちゃんって俺?!涼ちゃんって柄じゃないですよ?! あたふたとする快音くんに抱きついていたのは、ピンクだったりオレンジだったりする髪色の、小さな少年だった。 上目使いでこちらを見る大きな瞳は、綺麗なミルクティー色。 誰もが思い浮かべる“天使”のような愛らしいその姿は、この学園では苦労するだろうことを物語っている。 ま、また美形?!何ですかこの学園!! 美形に免疫がついたらどうしてくれるんですか!世の中、質より量だよ! 「あっ、涼ちゃんっ!」 「は、はい!」 条件反射みたいなもので、俺はびくっと体を揺らしながらもしっかりと返事をする。 「藍咲雫(アイサキ シズク)です!雫って呼んで?それと、快音とは恋人同士だからっ、快音のことは誘っちゃだめだよ?」 思わず男だということを忘れそうなくらい、可愛く頬を膨らませる雫。 「ー…え…?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |