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紅凜学園
推理スタート
 


こんな慣れない異世界みたいな空間で、初対面の人たちと三人きり…。大丈夫か、俺。頑張れ俺!



「えっと、じゃあ、お願いします」


俺が小さく頭を下げれば、お二人は初対面の俺にも優しく笑顔を向けてくれる。器まで大きいとなると、本当に自分との格の違いを実感させられてしまうね。俺は心も狭いからね、良いとこなしだよ。



「あ、の…」


このあとのデートが楽しみなのか、大理石の上でスキップでも始めてしまいそうなテンションで帰る母さんを見届けてから、俺は話を切り出した。

この間、母さんに婚約者の話を聞いてから、気になっていたことがある。それを、お二人に確認したい。



「なんで、俺を選んでくださったんですか?…その…婚約相手に」


母さんは、婚約相手は、汐ではなく俺でないと意味がないと言っていた。それがずっと、気掛かりだったんだ。

俺じゃないと…なんて、黒翼さんの息子さんが、平凡顔が好きだとか、男が好きだからとか、そのくらいの理由しか浮かばない。平凡な男が好みか…確かに俺は、どこをとっても平凡だけれど…そんなまさか。ねえ?


黒翼さんなら…どこかの深窓のご令嬢とか、ミス日本だとか、いくらでも選び放題なんじゃないかと思うんだけどなあ…。羨ましい!イケメンのお金持ちなんて、滅びればいいよ!



「そうねぇ…とりあえず、ここに座って?」


立ったまま会話を続けていた俺たちは、英理さんの提案で、ロビーの高級さ溢れる白いソファーに再度腰をかける。

向かいに座るお二人と対面し、また緊張がぶり返してきた。ひとまずここは、このふかふかの柔らソファーに思いを馳せることとしよう。



「どうして涼くんを選んだのか、だったわね?」

「はい」


やむを得ない事情でもあるのかな?よっぽどのことがない限り、俺のことなんて歯牙にもかけないと思うんだけど…。普通だったら、婚約者どころか友だちにすらなれないよな。

俺を婚約者に選ばないと、日本が沈没するとか…そういう?!日本の未来は俺が握ったも同然だね!



「君が婚約してくれれば、空牙もちゃんとするだろうからね」

「…?…どういう、ことですか?」


俺が、婚約したら…?ちゃんと…?


 

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