紅凜学園 気づけない真意 「嫌われたら、って思うと…言えなくて…」 途切れ途切れに、思いを連ねていく。黒翼は黙って、俺の片手を握りながら、話を聞いてくれていた。 俺にはこんなことを言う、資格もない…。だけど…黒翼に嫌われるのは……怖い。 繋がれている右手に、すがるように力を込めた。 「すっごく、自分勝手なことなんだけど…正体は族潰しだったわけだし、それがバレたら…とか…」 自分のチームを潰した相手のことなんだ、俺を恨んでいるはず。 だから、俺が真白なのだと知れたら…今までみたいに、手を引いてくれたり…笑ってくれたり……一緒にいることなんて、出来なくなるから…。 「でも…俺は嫌われても仕方ないんだから…もしそうなら、はっきり…」 言ってくれて、いいよ。婚約破棄したいって、言っても……。 でも…そう言われてしまうことが、何でこんなに嫌なんだろう…どうして、こんなに怖いんだろう…。 俺は…いつの間にか、黒翼と婚約することを受け入れていた。 結局…それも全部…今日で終わり…か。 「………え…?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |