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紅凜学園
悪魔にでもすがりたい
 


俺の今世紀最大の、一大事だというのに…姫色は至極楽しそうに口元を緩めている。血眼…ね。イケメン帝華の婚約者の正体は、普通の冴えない男子高校生だ。知るだけ損だと思う。つまらない結果しか待ってないから。



「ほんとに…どうしたらいいんだか、ここは一つアドバイスを!」


全生徒を敵に回したこの状況。本当に、本気で全力で助言を頼みます。俺、今は悪魔にも縋りたいくらいの気持ちなんだ。外見天使、中身悪魔の人にでさえ。

…あ、それが誰だかとかは、別にないよ。例えばの話だよ?うん、姫色のことでは…。



「んー…協力はするよ?でも、このことに関しては黒翼夫妻が裏から手を回してくれるんじゃないかな?一般生徒に漏れないように」


もしそうなのならば安心だ。あの“黒翼”が俺の味方なんて…心強いことこの上ない!いいことなんだか悪いことなんだか…よくわからないけどね。世界でも有数な権力者が俺の味方とか、怖くてしょうがないよ。


…あ、そういえば。



「姫色もモテるし…彼女…あ、えーと、あの、彼氏?とかいないわけ?」


ちろり、と、下から伺うように姫色を見上げる。この美麗な容姿で、いないわけがない。万が一…いや、億が一いなくても、作ろうとさえすればすぐにでも、ってやつ。


だけど…姫色と付き合える子なんて心底、尊敬する!姫色は、基本イイ奴だし、優しいし…見た目は良すぎて直視できないくらいだけど…さ。たまに…酷いとこあるよな。俺の不運を楽しんだり、俺の不幸を喜んだり。



「まぁ、困ってない、かな」

「……そうですか」


結局、いるのかいないのか…曖昧発言か。俺には教えたくないの?うう、悲しい…。俺たち親友じゃなかった?それ俺の妄想?

困ってない、なんて…俺だって言ってみたいよ。相手には不自由してないけど?って。



「でも、俺の言う通りになったよね」

「え?何が?」


姫色って…預言者か何かだったのか?



「この間、言ったでしょ?空牙先輩は涼一筋になる、って」


理事長室での、姫色とご夫妻との会話を思い出した。ああ、そんなようなことを言ってたよな。やけに自信たっぷりに。


 

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あきゅろす。
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