紅凜学園
彼の人は
「…う、ぁっ…痛…っ」
頬を、撫でられるが…口の中に出来た傷が痛むだけ。
こんなに痛いの…汐が初めて告られたって言ってた日以来…じゃなくて、喧嘩で負けた時以来かも…。
俺が抵抗出来ないのをいいことに、好き勝手に殴ってくるんだから嫌ですよ。明らかに弱そうな外見だし…もうちょっと手加減しようとか考えてくれ。
「悪いが、優羅ちゃんの命令だからな…」
ぽろりと涙を流した俺に、男はそう言ってくる。
「優、羅…?あの人…?」
気になった俺は、上から見下ろしてくる男に問う。
あの司令塔さん、優羅っていうのか…。すっごく可愛くて…命令されたらその通りにしたくなっちゃうのもわかるような…そんな感じでしたね。外見でアウトか俺は。ドンマイ!
「知らねぇのか?柿川優羅ちゃん。2年では莉実ちゃんの次くらいに人気だぞ」
「可哀想になぁ、お前も。あの優羅ちゃんに目、付けられるなんてよ」
「ホント、こんな顔の良い奴に勿体ねぇけど」
そうだよな…やっぱり、あの可愛さだ。人気なんだよな。…でも、可哀想って?
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