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紅凜学園
テレパシーで繋がってる
 


「エレベーターに乗ってね。9階に行くよ」


促されたエレベーター内は、一面鏡貼りだった。この塔は生徒会役員なんかしか入れない、美形さんだらけの空間だから、あれか。自分に酔いしれたりするためか。ありえない話だが、全面鏡貼りの理由なんて、それくらいしか思い付かない。


とてつもない美形たちだから…酔いしれたくなる気持ちはわからなくもないけれど。

俺だって、青葉先輩とか姫色とか…黒翼、みたいな顔だったなら酔いしれるよ!鏡をずっと見ていたいよ!



「はい、降りて」


不思議な造りのエレベーターの存在理由について葛藤しているうちに、あっという間に1008号室…生徒会室の前まで着いた。エレベーターが着いた先の、正面の部屋だ。

姫色がカードキーで扉を開けると、…中は、…異空間?…いや、本当に!


煌びやかなシャンデリア、輝く骨董品、艶やかな絨毯…どれもこれもが鮮やかで眩しすぎて直視できない。日本の現代社会にあるまじき光景だ。中世ヨーロッパかよここは。



「広いな…」


中央奥には大きなデスクがあり、その周りにはテレビやパソコンがたくさん並んでいる。白いソファは柔らかそうで、同じく白のカーテンには可愛らしいフリルがついていた。

唯一、生徒会室らしいものと言えば、ファイルやノートなどの資料らしきものが多く入っている棚だろうか。それすらも高級感を漂わせているが。


何だよこの広さは…。広いのはわかってはいたけど、やっぱり反応せずにはいられないだろ!



「どこでも適当に座って」

「ん、ありがとう」


それにしても、姫色はこの部屋がよく似合う。実は姫色はどこかの国の王子様で…高校生活を満喫するために素性を隠してる、とかいうマンガみたいな設定があったとしても違和感がない。納得するぞ…あぁ、王家の…。みたいな。



「俺、なんだか疲れてきた…」


ソファーの端に腰かけると、脱力感に近いような感覚に襲われた。ここに来るまでの道中の、ぴしっと気を張った緊張状態の反動だろうか。


この学園にいる限り、ずっとそうだろうけど。黒翼のこともあるし、この豪華な校舎なんかもいちいち俺をびっくりさせてくるし。どうしろっていうんだ。


 

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あきゅろす。
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