紅凜学園 目覚めてそこに 「すーず、着いたよ」 「んー…」 眠りの世界の奥深くにいた俺は…軽く、肩を叩かれる感覚がして、現実に戻ってくる。 あ、そうか、決戦の地へと到着したわけですか…。 …よしっ!シャキっと行こうか!うん、それで…言うんだ。…決めたから。 「目、覚めた?」 「ん…なんとか」 目を擦りながら、体を伸ばす。車内の椅子は柔らかく、体に痛むところもない。 さっきまで、フランスパンに追いかけられる夢を見てたんです。いやぁ、本当に冷や汗もので。 フランスパンに追いかけられる夢、の夢診断をして欲しいね。俺、きっと悩んでることがあるんだろうな…。 だいたい、そんな夢を見たせいでフランスパンを食べたくなって来た!どうしてくれる! 「じゃあ、行こう」 あくびを噛み殺し、先に車を降りた姫色の後を追う。 んー…いい空気。 回りは森、森、森で…目の前には…。 「これが別荘…?」 呆然と、そびえたつ建物を見上げるしかできない。 別荘っていうより本宅じゃないですか、これ。いや…いや、こんな凄い建物、本宅でもおかしいけれども。 [*前へ][次へ#] [戻る] |