紅凜学園 告げたい気持ち 姫色は…俺の頭を、ぽんぽんと叩く。 「ちゃんと…いろいろ、言おうとは思ってる」 俺が隠してきたことを…全部話す、覚悟はした。 「これを機会に言ってみなよ?せっかくペアにしたんだから」 「………うん」 頷くと、頭上で姫色が小さく笑った気配がした。 もう、婚約者として会ってから…半年近く経つ。 最初は、婚約なんて断らなきゃって思うばっかりで…黒翼のことをちゃんと見ようとはしていなかった。 …でも、一緒にいて、わかったことがある。 黒翼は…俺様だし、強引だし、俺とはいろんな感覚が違うし、わかりづらい。けど…何よりも、優しい。 そんな黒翼が誰からも好かれるのは当たり前で…そんな人が、俺の婚約者で…。俺はいつの間にか、婚約を断るつもりだった…なんてこと、忘れてた。 優しい黒翼に…ちゃんと、今まで隠していたこと、それと…今の俺の気持ちを、話さないと…。そう、決意したんだ。もし、悪い結果に向かうとしても。 楽しみなような…不安なような、自分でもよくわからないまま、交流会はすぐそこに迫っていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |