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紅凜学園
あなたはあなたのままで
 


もう逃げ場はないのだからと決意を固めて降りようとしたところで、運転手さんが手慣れた動きでドアを開けてくれる。


母さん、サラリと歩いて行ってるけど、このセレブ待遇に疑問を感じる俺がおかしいんですか?俺じゃなくておかしいのは状況だろ?そうだよね?



「帰りたい…」

「早く来なさい」


口からついて出た言葉は、母さんには受け入れてもらえるはずがないと知ってはいた。が、やはり悲しい。


…圧巻されて言葉が出ないです…。幻は幻のままでいてください、お願いだから。



「お帰りなさいませ」


なぜだか重そうなドアも俺たちが近づくと勝手に開き、入った途端に整列した使用人達が、出迎えてくれた。


あー、ねー、うん、メイドさんと執事の方々…。こういうシーン、テレビで見たことあるよ俺。

…まず、お帰りなさいって…俺こんな大豪邸の住人だった?



「涼、ボーッとしてないの」

「だって…」


背中を軽く叩かれる。放心することくらい、この状況下なんだ…許してほしい。


ボーッとするなって方が無理だとは思わない?!ボーッとせずにはいられないぞ。


 

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