紅凜学園 男だったら奪われる 「あらー、そんなこと心配しなくても大丈夫よ。汐のことだから、ちゃんと相手はかっこいい子でしょ」 「そういうことじゃない!」 母さんらしいおとぼけ発言に、なんだか怒りが増幅してきた気がする。 とぼけてる場合ですか! かっこよさとかはこの際、関係ないんだ!!や…多少は必要だけども…多少はね!中身…そして安定した収入が大事だろ!! あぁぁー…どうしようどうしよう!俺もタヒチに行かなきゃ!汐が奪われる…っ! 「涼に言われるのもどうかと思うわよ?彼氏どころか、婚約者がいるんだもの」 「…うっ…」 的確な突っ込みに、俺は言い淀む。反論する言葉が見つからない。 痛いところを突きますね…!!そこは触れてほしくはない領域ですよ!! 俺自身も、ちょっとだけ思ったけど…っ。 「今は、黒翼邸に行くことを楽しみにしてましょうよー。とっても素敵そうよね?黒翼邸っ。大丈夫だわ、汐は汐で上手くやるわよぉ」 「…何だよそれ」 ほがらかな表情でまったく心配していない母さんに、胃がきりきりと痛んでくる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |