紅凜学園
婚約破棄
俺はどうせ可愛くねぇよ…っ。別に、男に可愛さなんていらないだろ?!
「何で、そんな心配するの？」
「何でって…」
……あれ？
俺は…平凡だし…可愛くも綺麗でもないから、婚約破棄される可能性は、充分にある。庶民まるだしなヤツだしな。だけど…。
「何でだろ…」
男と婚約しないで済むのに…何で俺、悩んでるわけ……？
「もし、そう言われたとしたら…悲しい？」
「そりゃあ…な。俺の何がダメだったんだろう、って…」
うん、悲しいし落ち込む。ダメなところ、なんてありすぎてキリがないくらいだけど…。
だって、黒翼みたいな完璧な男に俺が釣り合わないのは、わかってるから。
「心配ないよ」
「…けどっ…」
ふわりと、人を魅了するように、安心させるように笑う姫色とは逆に、俺の表情は眉も下がり情けないことになっているだろう。
…婚約破棄される理由なんて、いくらでも考えられるだろ。思い当たることばっかりで…ははは！笑うしかないよな！
「俺の目から見ても、黒翼夫妻は涼を気に入ってたし」
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