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番外編
メロメロなんです
シュウ×仁志












「あ。待った」



唐突に両手で口を塞がれる。

「あ?」

仁志の急な行動に眉をひそめる。

「キスしないで」

「は?」

「だから、キスしないで」

その言葉に眉間の皺がひとつ増える。

「ほぅ。俺を拒むとはなぁ」

「ち、ちがっ!今、口ん中に口内炎できてて痛いの!」

「口内炎ん?」

「そう。舌にできてるから余計痛いんだよ」

無防備にも「ほら」といって舌を突き出してくる。確かに仁志の舌には痛々しい炎症があった。
しかし、今の格好をコイツは分かっているのだろうか。

口を緩く開き、舌を出している。それは、まるでキスをねだるような仕種だ。


俺は躊躇う事なく、突き出された舌に自分の舌を絡める。そうして、そのまま仁志の口を塞いだ。


「んーー!!」

胸を強く叩き、抵抗する仁志の腕を取り、より深く口づけをすり。俺の舌が炎症部分に当たる度に面白いほど仁志の躯が跳ねる。
それが面白くて、炎症部分の周りをゆっくりとなぞる。その度に躯がびくびくと反応する。
痛みからか、それとも生理的なものか。仁志の目尻から、涙が零れた。


やっと唇を解放してやれば、真っ赤な顔で肩で息をしながらも、俺を睨んできた。



「痛いから、嫌だって言った!」

「だから、早く治るように舐めてやったんだろ?」

「唾液に治癒効果なんかないっつうの!」

「へぇ。それは知らなかった」

大仰に驚いた顔をしてやれば、心底腹が立つといった顔をする。


「鬼畜!」

「優しい俺なんて気持ち悪ぃだろ」

「どS!」

「Mではないからな」

「〜っ変態!」

「それは否定できねぇなぁ」


クツクツと笑って言えば、悔しそうに顔を歪めて、そっぽを向いてしまった。こうなると、コイツの機嫌は中々直らない。




――ああ、本当に可愛らしい。



口には出してなんて言わないが、くるくる変わる表情が愛しいと思う。
そんな顔をさせているのが自分なのかと考えると、尚更愛しさは募る。



(さぁて、どうするかな)



口内炎ごときでキスを拒まれた事に対して、少なからずショックを受けたことへの軽い逆襲。
そのつもりが、どうやら本格的に臍を曲げてしまったようだ。身体ごとそっぽを向いている仁志に対して、小さく笑う。






(まったく、)






可愛過ぎて困ったもんだ。











end
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あきゅろす。
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